「境界の彼方　過去編」映画

『境界の彼方　過去編』
＜ストーリー＞
　古代から妖夢と戦い続けてきた異界士たちの中でも忌み嫌われる呪われた血を操る一族のただ一人の生き残りの少女栗山未来は権力者の異界士からその内部に“境界の彼方“という妖夢を封じ込めた半妖の少年神原秋人の殺害を依頼される。しかし、未来は似た宿命を持つ秋人に惹かれてゆく・・・
＜コメント＞
　TVシリーズの総集編というのはどうしても話が端折られたり、サイドストーリーが無視されたりする。この作品でも全12話（300分近い）を90分にするためにかなり強引に中盤から後半にかけてのメインストーリーだけを編集している。そのためTVシリーズ前半に描かれたいかにもラノベ的なゆったりとした高校生活や友情やコメディシーン、そして魅力的なサブキャラクター達がきっちりと描かれなかったり完全に無視されたりしてがっかりしてしまう。（さすがに完全ギャグ回の第6話のアイドルダンスシーンはサービスとしてオープニングに挿入されているけれども、初見の人はびっくりするだろうなあ）
　しかし、多くの要素を削って未来と秋人の素性と関係だけに絞ったストーリー展開にすることで総集編なのに劇場映画としてきちんと二人の絆を描いた作品として成立しているのだ。未来や秋人の秘められた悲しみの過去は次から次へと繰り出されるアクションに昇華され、戦って傷つくほどに二人の絆が強まっていくのが判るし、途中のトリッキーな展開は劇場でこそ効果的に表現されている。
　絵の可愛さやアクションに関してはさすがに京都アニメーションだけあって総集編ながらまったく乱れることなく、劇場で見ても十分鑑賞に耐えうるほどのクオリティを保っている。
　前半は総集編にありがちなダイジェスト感に少々イラつかされたが、中盤からの熱い展開には感動させられてしまったのでこれはこれでアリかもしれない。
　とりあえず劇場版オリジナルとなる未来編を期待させるには十分なクオリティを持った総集編でありました。

劇場版 境界の彼方 −I’LL BE HERE− 過去篇
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