mixiユーザー(id:22841595)

2014年12月22日18:39

375 view

明治生まれの祖母が興味を持った唯一のクラシック音楽

 先月、中学1年のときの夏休みの音楽の宿題について、日記に書きましたが(http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1934835371&owner_id=22841595)、実は、あの時が、私にとっては、オーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団の演奏に触れた最初の機会のようなものでした。
 以前の日記でも触れましたように、(http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1340865792&owner_id=22841595)両親はアメリカ土産にオーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団のLPレコードを大量に買い込んでいたため、あのような宿題をこなすためには、恰好の素材があったわけです。
 もっとも、当時は演奏の良し悪しは分からず、宿題のために半ば義務的に聴いていたわけですから、多くは難行苦行の域を出ませんでした。ただ、例外が一曲ありました。
 ドビュッシーの出世作であり、代表作でもある「牧神の午後への前奏曲」です(この動画の演奏を、動画で紹介されているLPレコードで聴きました)。

http://www.youtube.com/watch?v=AfMUkDZGFB8
 クラシックというと、何だか名曲と言っておかないとこちらの教養が疑われるような気がして、よくわからないまま「いい曲ですね」などと、取りあえずわかったような顔をして褒めておく、といったウソを頻繁についていた当時の私にとっては、この曲はちょっとした衝撃でした。クラシックでも、そんなウソをつくまでもなく、こんなに心から美しいと感じられる曲があったのか、と思えたからです。
 私だけではなく、普段はクラシックのクの字も知らなかった明治生まれの祖母(多分、モーツァルトやベートーヴェンさえ知らなかったのではないかと思います)も、偶々、その時、傍で幼い弟の子守をしていたのですが、父が奮発して購入したステレオからこの曲が聴こえてくると、子守を忘れてこの曲に聴き入ってました。で、曲が終わってから、「何て曲?」と私に訊いてきたほどです(そこでまた私は、自分も初めてこの曲を聴いたくせに、さも聴き込んでいたかのような顔をして、「ドビュッシーの『牧神の午後への前奏曲』だよ」と答えたものでした。まったくしょうがないですね、思春期というのはあせあせ)。 
 もちろん、音楽というものはかなり嗜好性の強いものなので、この曲を聴いてもさほど感動しない人もいるでしょうし、それはそれで、全然かまわないのですが、ただ、一口にクラシックといっても、ここにはベートーヴェンとは全く違う世界があることは確かですね。

 せっかく動画を紹介しましたので、この演奏について少し触れておきますと、動画の中で繰り返し出てくるように、この演奏では名手と謳われたウィリアム・キンケードのフルートを存分に楽しむことができます。キンケードという人は、ソロ活動をしていてもおかしくなかったほどの名人ですが、フィラデルフィア管弦楽団のフルートの首席奏者を39年間も勤め上げました。居心地が良かったのでしょうね。
 そして、この演奏が録音された1959年という年は、キンケードが首席奏者を引退する1年前で、他の楽器の奏者のウデも丁度脂がのりきった、まさにフィラデルフィア管弦楽団の最初の黄金期と言っていい年でした(実際、この年に録音された曲には、オーマンディ・ファンが名盤と称えるものが多い)。 
 残念ながら、他の多くのオーマンディの録音と同じく、一般にはあまり高く評価されてない演奏(というか、ほとんど話題になることさえなく、個人的には、こうしてYouTubeにアップされていること自体、奇跡のように思える演奏)ですが、キンケードだけでなく、他の奏者の演奏技術も楽しめる非常に優れた演奏だと思います。
 
 ところで、これほどの名曲ですから、フィギュアスケートでも、しばしばこの曲で舞うつわ者が現れます。中でも、コストナーによるこの演技は素晴らしいものでした。作曲者も(生きていたら)きっと魅了されたことでしょう。

http://www.nicovideo.jp/watch/sm14323549
 今日は、120年前に「牧神の午後への前奏曲」が初演された日です。
3 14

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する