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2010年09月09日18:24

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八大龍王伝説 【092 聖王国の復活】


いつもお読みいただいている皆さま、ありがとうございます

それでは早速、八大龍王伝説をはじめます


【092 聖王国の復活】


〔本編〕
龍王暦一〇五〇年一〇月三〇日の夕刻、ジュルリフォン聖王子の戴冠式は無事に終わり、この日をもってジュルリフォン聖王子は第四十九代聖王に就任し、新生ソルトルムンク聖王国が誕生した

祭祀を担当したザッドは満足そうであった

三種の神器も精巧に作られており疑う者はいない

八大龍王の第八龍王である聖王国の建国神−優鉢羅龍王(うばつらりゅうおう)の使者もザッドが仕立て上げた

そういえば大臣の地位を剥奪された元祭祀担当の大臣もあの日(一〇月一一日)以来行方不明である

恐らくザッドによって秘密裡に始末されたのであろう

一一日の大臣会議にはグラフ将軍を始めとする大臣の全てがザッドと祭祀担当の大臣のやり取りを聞いていたが、戦時中という緊急時ではあるし、ここで三種の神器や優鉢羅龍王(うばつらりゅうおう)の使者の真偽を論じ、聖王国を内部分裂させるのは誰の本位でもない

しかし、この事が後に大きな火種を生むことになるとはグラフ将軍以下誰にも想像できなかった

さて、午後六時になり、軍事の再編成が発表された

発表は軍務担当の大臣から言い渡された

再編成の内容は以下の通りであった

 三将軍は以下の者とする

  天時将軍 マクスール

  地利将軍 グラフ

  人和将軍 ハクビ

 それぞれの副官は以下の者とする

  マクスール将軍の副官 リルムリ マーク

  グラフ将軍の副官 スルモン コリード

  ハクビ将軍の副官 レナ シェーレ

この中で意外な人事は、やはりマークとシェーレであった

当然、マークはハクビの副官になるというのが大多数の思惑であった

そして、シェーレにおいては聖王国の兵になって日が浅いので 人和将軍の副官というのはかなり異例の昇進であったといえる

さらにこの後、主な者の兵種の変更(クラスチェンジ)が伝えられた

ハクビの関連のみ挙げると

  ハクビ:シルバーナイト(第三段階) → ドラゴンナイト(最終段階)

  マーク:アーチャー(第二段階) → スナイパー(第三段階)

  レナ:シスター(第二段階) → クレリック(第三段階)

  シェーレ:メイジ(第三段階) → ウィザード(最終段階)

  ドンク:シーフ(第二段階) → アサシン(第三段階)

この中で異例の昇格を果たしたのは、やはりシェーレであった

確かにシェーレはメイジという第三段階の兵だったが、それはあくまでもバルナート帝國の兵としてである

聖王国に籍をおいて日が浅いシェーレは、本人はもちろん誰もが、今回のクラスチェンジはないと思っていた

それにウィザードという兵種は最終段階なので、ハクビと同じ段階(ランク)になってしまう

シェーレが食客の身分のままならそれもありうるが(先生として崇めるという意味で)、副官は直轄の軍の階級なので、大将と副官が同じ段階と言うのは命令系統が二つあるということと同義である

本来であれば、最終段階(トップランク)は國(くに)の王しか任命できないので、王の権限でそこはバランスをとるものである

しかし、マークをマクスールの副官にしたり、シェーレを最終段階に昇格させたりしたのは、完全にハクビの勢力の弱体化を図る悪質な企てであると考えられる

ハクビは昨日のザッドの訪問はここにあったと悟った

グラフ将軍もこの件について憤慨(ふんがい)した

しかし一〇月一一日の大臣会議の後の軍務担当の大臣、ザッド、グラフ将軍の三人での秘密会議において軍の再編成の根幹を話し合ったと、この発表の中でさり気なく付け加えられたため、グラフ将軍も正面きって反対することもできない状態であった

ザッドの詰め将棋も似た策略であった

ハクビもこの件についてはグラフ将軍も絡んでいるのかと一瞬疑った程であった

後日、グラフ将軍から一〇月一一日の秘密会議では大した内容の話が無かったとハクビは聞かされた

まさにザッドのグラフとハクビをあわよくば離反させようとする一手でもあった

何事もなければ、当分この問題で聖王国中が紛糾しそうな雰囲気であった

しかし、そんな内部の事情を吹き飛ばすような緊急事態が国外で発生した

バルナート帝國の朱雀騎士団がドンク帝國を降伏させ、その足でソルトルムンク聖王国の王城マルシャース・グールに向けて進軍を開始したという報である



〔参考一 用語集〕
ハクビ(眉と髪が真っ白な記憶喪失の青年 ソルトルムンク聖王国の人和将軍)

ジュルリフォン聖王(ソルトルムンク聖王国の第四十九代聖王)

ザッド(ソルトルムンク聖王国の宰相)

グラフ(ソルトルムンク聖王国の地利将軍)

マーク(ハクビの親友 マクスール将軍の副官)

レナ(マークの妹 ハクビ将軍の副官)

シェーレ(ハクビ将軍の副官)

ドンク(ハクビ将軍の配下の者)

マクスール(ソルトルムンク聖王国の天時将軍)

リルムリ(マクスール将軍の副官)

スルモン(グラフ将軍の副官)

コリード(グラフ将軍の副官 元ムーズ将軍の副官)

ソルトルムンク聖王国(大陸中央部から南西に広がる超大国 第八龍王優鉢羅(ウバツラ)の建国した國)

マルシャース・グール(ソルトルムンク聖王国の首都であり王城)

シルバーナイト(第三段階のシルバーホースに騎乗する重装備の騎兵 銀騎兵とも言う)

ドラゴンナイト(最終段階の小型竜に騎乗する騎兵 竜騎兵とも言う)

アーチャー(第二段階の重装備の弓兵)

スナイパー(第三段階の重装備の弓兵 いわゆる『狙撃手』)

シスター(第二段階の魔兵 白魔法に精通している女性限定の兵)

クレリック(第三段階の魔兵 白魔法に精通している女性限定の兵)

メイジ(第三段階の魔兵 黒魔法に精通している兵)

ウィザード(最終段階の魔兵 黒魔法に精通している兵 いわゆる『魔法使い』)

シーフ(第二段階の剣兵 諜報活動に優れている いわゆる『盗賊』)

アサシン(第三段階の剣兵 諜報活動に優れている いわゆる『暗殺者』)

三将軍(ソルトルムンク聖王国の軍事部門の最高幹部 天時将軍、地利将軍、人和将軍の三人)


〔参考二 大陸全図〕
フォト



〔参考三 あらすじ〕
龍王暦〇〇〇一年 八大龍王によって八つの國(くに)が建国される

龍王暦一〇四九年八月 ソルトルムンク聖王国にあるクルス山でハクビが発見される ハクビは記憶喪失

龍王暦一〇五〇年二月一五日 ソルトルムンク聖王国のコリムーニ老聖王とバルナート帝國のロードハルト帝王がバクラにて会談 その席上コリムーニ老聖王が急死する

同年三月一〜三日 ソルトルムンク聖王国とバルナート帝國が国境の町バクラで交戦、ソルトルムンク聖王国側大敗(バクラの戦い)

同年同月一〇日 ソルトルムンク聖王国の王城陥落 聖王国滅亡 ジュルリフォン聖王子は大陸最南端のツイン城に逃げ込む

同年五月三日 コムクリ村にバルナート帝國軍が襲撃、ハクビが白虎騎士団のバルゴー隊長を倒す 以後、グラフ将軍に助けられ、残党軍の拠点であるアユルヌ渓谷に到着する 

同年八月初頭 バルナート帝國とミケルクスド國連合軍がジュリス王国を滅ぼす

同年九月四〜五日 聖王国軍と帝國軍がツイン盆地で激突(ツイン城の戦い)、帝國軍、ツイン盆地より撤退

同年一〇月一〇日 マルシャース・グール奪回の戦いにおいて、聖王国軍が勝利する

同年同月一五日 バルナート帝國とカルガス國連合軍がクルックス共和国を滅ぼす
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