mixiユーザー(id:6007866)

2009年11月02日23:57

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『THIS IS IT』。

 イケル・ジャクソンの最期の映像である、劇場映画『THIS IS IT』を観た。これはツアー前のリハーサル風景をマイケルが個人的な記録として撮影させた映像を中心に構成したもので、本来、我々の眼に触れることなく秘蔵されるはずの映像だった。マイケルが研究熱心で、映像に対し強いこだわりと愛着を持っていることは有名だが、連日のリハがこれほどふんだんに記録されていたとは驚きである。本番では、ステージのために新たに制作された映像を大スクリーンに送出し、ライブとシンクロさせる凝った演出が予定されていたが、映画『THIS IS IT』はこの送出用映像とリハ映像によって、「・・・本番はこうなるはずだった」という擬似ライブ体験を実現すると同時に、マイケルが私たちに遺したメッセージを伝えている。マイケルファンにとっては、必見の映像だ。ちなみに、エンドロールが流れ始めた途端に席を立つような無粋な輩は、エンドロール明けの映像を見逃すことになるので要注意である。劇場で、映像と新鮮に向き合いたい方は、この先はお読みにならないことをお薦めする。

フォト


 映像は、『・・・10年ぶりのツァーのため、マイケルは新しいステージを完成させた。その観客は、スタッフと出演者だった・・・』というテロップから始まる。続いて、メインダンサーの一人一人がカメラの前で、マイケルと同じステージに立てる喜びのコメントを語る。ある者は興奮して紅潮し、ある者は感激して涙を流す。マイケルと自分達が作っていく歴史的なステージへの期待感で胸がいっぱいである。誰一人、まもなくマイケルがこの世からいなくなるとは夢にも思っていない。
 次は、ダンサーのオーディションの様子が映し出される。全世界から集まってきた超一流のダンサー達だ。先ほどカメラの前でコメントしたメンバーの姿もあり、この時点では彼らはまだ選出されていないことがわかる。厳しい審査風景が紹介され、審査側のインタビューが続く。ダンスのスピード、高さ、完璧な容姿とセクシーさがあっても、華が無ければ選出されない。マイケルの要求が非常に高いことが伺える。

 リハーサルが始まる。マイケルが全力を尽くすので、自然、誰もが全力を尽くす。本番さながらのリハが果てしなく続く。時々、マイケルが演出にNGを出すが、彼が周囲に気を遣っているのは明らかだ。「・・・大丈夫。ぼくは怒っていないよ。愛しているよ。そのためのリハなんだ・・・」 彼は優しく何度もつぶやく。演出や照明、音楽の責任者はマイケルの指示を理解しようと努め、その要望に応えるために誰もが一所懸命だ。ところどころで、彼らのインタビューが挿入されるが、彼らのコメントはマイケルと仕事ができる喜びと、マイケルの傑出した能力への称賛に満ちている。マイケルが音楽を知り尽くし、観客を楽しませるためのアイデアに溢れていることを目を輝かせながら、熱く語る。彼らもまた、マイケルが突然この世からいなくなることを知らない。この映像では、「マイケルの死」を意識しているのは、観客だけなのだ。マイケルもスタッフ達も、来るべき本番のために全力を傾注し、磨きをかけ続けるが、同時に、彼らは心底、リハーサルを楽しんでいるのだとわかる。マイケルの歌とダンスに、スタッフは熱狂し、ステージの下で、あるいは各自の持ち場で手を叩き、踊り、歌う。そして、ついに全27曲からなる珠玉のリハは終了する・・・・・。

 マイケルは、今も生きている。悪戯好きな彼が、皆を驚かせるために全てを仕組んだのだと信じている者もいる。マイケルがなぜ、かくも絶大な支持を集めているのか、彼のファンでなくても、この映像を観れば、彼の偉大さを認めないわけにはいかない。そして、彼がいかに愛に満ち満ちていたかを知るのだ。



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