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2024年04月01日16:37

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3月29日 連雀亭ワンコイン寄席

 気温は上がったが、朝から嵐。風も強いが、結構雨も降る。今日は一日休みなので、雨だからと云って家にいるのも勿体なく、朝早くから上京。とりあえず家から最寄り駅まで歩けば後はほぼ濡れずに行けるし・・・と思ったが、淡路町の改札を出て地上に上がるとまだ雨が降りやんでいなかった。早足で連雀亭へ。こんな天気だし客も少なかろうと思ったが、9人来ていたから驚いた。自分もその一人だが。

●談吉「道灌」
 入門した月が三月だった・・と少し思い出話。先輩たちから「前座はウケてはいけない」と云われていたとか。でも前座のころの談吉を記憶しているが、かなり独特で印象的だった。後に出た先輩二つ目が「前座でも個性がある人はいいですね〜」的な少し揶揄?コメントをしたことも覚えている。この日は入門して最初に稽古をつけてもらった噺で柳家の「道灌」。実に丁寧で結構でした。

●竹千代「松竹梅」
 家族で神津島を旅行したが、船が到着して食事をしようと飲食店に電話を入れると、島中の店が本日休業。その日は一年に一度ある島の風習「二十五日様」だったそうで、自分はちょいちょいそういうハプニングを招きやすい・・・本日の暴風雨も自分が雨男のせいかも?のマクラから落語へ。初めて聞いたオチ(梅さんだけに酸っぱい云々)だったが、そもそも「松竹梅」のオチを元のまま(梅のお開き)にやってもぴんとこない人がほとんどだろう。まあそれまでの次第を楽しむ噺なのだから良いのだが。
 
●寸志「幇間腹」
 客入りは最後まで「つばなれ」しない9人だったが、「割り前は三人で分けるから、3で割れる客数の方がありがたい。これから増えるとしたら、12人まではいってもらわないと(笑」。今日の演者はみな古典、新作(改作)どちらもやる人たちばかりだが、この日については全員古典落語、どの人も真打が見えてくるキャリアなだけに、余計な力が入っていない分捻りすぎずに面白い。寸志の「太鼓腹」は若旦那が終始低温な感じ。一八とはいえ生身の人間に針を打つのを恐れているが、興味に抗えずに打ってしまうというか・・・。

 終演後、外に出たらすっかり雨はやみ、その後は気温も急上昇。いまやかつての電気街の面影はなく、コンカフェの町へとなり下がった秋葉原の中華料理店で昼食を取った後、上野の芸大美術館で開催されている「大吉原展」へ。春休みやお花見のシーズンに合わせた開催で、「吉原は花のお江戸のワンダーランド!」的な蛍光ピンクの惹句が躍るプレスリリースを目にしたのはずいぶん前だったが、その後「吉原は性売買の場だったという事実を踏まえた上での展示なのか」といった批判がSNS上で噴出し、一時は中止の噂も囁かれた展覧会である。
 そんな経緯なのでさぞかし女性客からそっぽを向かれて空いているだろうと思ったら、あにはからんや結構混み合っていた。入口を進むと、まず主催者と学術顧問・田中優子法大名誉教授による「吉原が性売買の場であることは分かっていますので勘弁して」的なでっかいパネルが。蛍光ピンクの煽りっぽいイメージビジュアルも極力避け、うっすら第二展示階に緋もうせんを敷いた腰かけ(座ってはいけないのだが)がある程度。かなり世の中の流れに忖度したレイアウトにトーンダウンしたのではないか。
 ただ展示内容はとても興味深く、海外の美術館から借りた肉筆浮世絵も展示され、先に千葉市美術館で開催された「鳥文斎栄之展」と併せて見れば、浮世絵ファンにとっては嬉しい展示。落語ファンにとっても廓噺の舞台となる吉原の基礎知識や往時のにぎわいを知ることが出来、より深く落語を楽しむための手引きになるのでは。
 江戸市中がたびたび大火に見舞われたように、吉原でも火事が起き、その中には働く女郎の付け火によるものもあったとの解説を読めば、自ずと吉原がどういう場所だったか考えを巡らすことになるだろう。そういった部分にスポットを当てる事前PRであれば、SNS炎上も避けられたのではないかと思うのだが・・・。まあ思ったより客入りも良いようだし、炎上商法大成功(失礼!)。

 夕方の上野公園をそぞろ歩けば、早くもシートを敷いて仲間を待つグループあり、ハーゲンダッツアイスの無料配布あり(並んだ!)、ちらほらと咲いている桜を背景に自撮る人々ありの花もないのに狂騒状態。今年も春がやってくる。だがそれはコロナで無人だった上野公園を頭の中で重ねてしまう、抜け落ちた数年に思いをはせる春でもあるのだった。 

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