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2023年12月08日16:09

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ドキュメンタリー『ヤジと民主主義 劇場拡大版』

ヤジとはノイズである。ノイズが何もない社会は怖い。みんなが同調し、同じ考えしか持っていない社会になったら、究極の管理社会のディストピアである。ノイズは確かにうるさい。黙って聞け!と言いたくなる気持ちもわからないではない。しかし、ノイズとしてしか発信できない場合もある。それなら発信したほうがいい。発信しえないことを後悔するくらいなら、睨まれても怒られても、声を上げるべきだし、批判や不満があるのなら声を上げなければならない。声が圧殺されると、それでいいことにされてしまう。ノイズでもいいから、声を上げないと、誰にも何も伝わらない。

人と違うこと、人と違う声をあげづらくなっている。まわりの目を気にし過ぎている。だから事を荒立てない、揉めないようにする。無駄な諍いは時間の無駄だ。そんな時代になりつつある。
抗議の声を上げるには、パワーが必要だ。そのパワーが社会から失われつつある。タイムパフォーマンス、コストパフォーマンス…。情報があり過ぎて、それに目を通すので忙しい。SNSで「いいね」をするので忙しい。何もしないと無視したと言われるから。そんな不満や声さえ怖くなる時代。まわりとうまくやること、まわりと揉めないこと。そればかりに気を配る。だからストレスがたまる。つかれる。だから声など上げない。ヤジなど迷惑なだけだと考える。

2019年夏の参院選で、札幌市で街頭演説中の安倍晋三首相(当時)にヤジを飛ばした市民が道警の警察官に排除された問題を4年間追いかけたドキュメンタリーだ。テレビドキュメンタリーとしてこれまでも放送してきたが、この劇場拡大版は、ヤジを飛ばした人がどんな人だったのかを描いている。これまでの裁判の経過も含めて丁寧に追いかけている。なぜ、ヤジを飛ばしたのか?ヤジを飛ばさないではいられなかったのか。そんな一人の男性と一人の女性の「人となり」が見えてくるのが面白い。そして、メディアはこうした小さな声に耳を傾け、伝え続けていかなければならない。

2023年7月、札幌高裁での二審判決を双方とも不服として上告した。言論・表現の自由侵害をめぐる国家賠償請求訴訟は最高裁に舞台を移し、引き続き争われる。

札幌ではシアター・キノ、東京ではポレポレ中野にて2023年12月9日から公開。
『ヤジと民主主義 劇場拡大版』公式HP https://yajimin.jp/


2023年製作/100分/G/日本
配給:KADOKAWA
製作:HBC北海道放送

監督:山崎裕侍
制作:山崎裕侍
プロデューサー:山岡英二、磯田雄大、鈴木和彦
取材:長沢祐
撮影:大内孝哉、谷内翔哉、村田峰史
編集:山崎裕侍、四倉悠策
MA:西岡俊明
音楽:織田龍光
語り:落合恵子


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