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2023年04月16日01:34

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4月14日 浅草演芸ホール中席昼の部「五代目江戸家猫八襲名披露興行」

 「フェイブルマンズ」観ようと思ったら、もう横浜も都内も終映。ぐぬぬぬ・・・と一日空いたので、浅草演芸ホールへ向かう。

 芸人たちもコロナの状況を高座で語るについて「浅草に団体が」「はとバスが」と話題にするように、浅草の人出は一種のバロメーターになっているようだ。というのも浅草は観光の街であり、新宿や池袋とは往き来する人たちの質が違うから。
 この日、いつもの銀座線田原町駅からではなく、都営浅草線浅草駅から演芸ホールへ向かったのだが、平日の午前中に、浅草通りにあふれかえる人の多さ! 外国人観光客もさることながら、フリルやレースの半襟に洋服生地で仕立てた不思議キモノを着たインスタ映え狙い女子、仲良し老人会グループ、食べ歩きを楽しむ若いファミリー(例外なく男性がベビーカーを押している)など、皆が外を気兼ねなく出歩けるようになった喜びを謳歌している。スゲェ・・・としばし雷門の向こう側に続く、人が多すぎて見通せない仲見世を眺めて嘆息。というのもここ2,3年の浅草の姿が、自分が以前から知っている衰退しきった浅草と重なりすぎていたので、コロナの数年前からインバウンドで賑やかになった時期をすっかり忘れていたのだった。まずは長い冬を耐えてきた飲食店、土産物店にやっと到来した春の兆し。長く続くことを願うのみ。

 五代目猫八の披露目は浅草へ。狭いロビーで披露目の法被を着た二つ目が手ぬぐいと猫八デザインのアクリルキーホルダーを販売。何種類かあるキーホルダーは袋詰めされていて、外から見えないブラインドボックス状態。コンプリートするために10数個買った客もいたそうだ。
 舞台には落語協会の祝い幕がかかり、上手に置かれたのが五代目江戸家猫八の看板。開場時七割ほどの入りから一階はほぼ満席。二階にも客は入ったようである。

●前座 ひろ馬「一目上がり」
 この前の喬太郎の会でも前座。「ご隠居は普通横丁にいるもので、高架橋下のご隠居とかはいない・・・」などと、ちょっとこれから跳ねそうな雰囲気も漂わせている。

●花ごめ「ぞろぞろ」
 コロナ前に連雀亭ワンコインで見ている。その時は出演者三人の内の男性二人がダラダラヘロヘロで、トリに出てきた彼女だけがきちんと古典落語を聞かせてくれたので、なんだか花ごめの独演会を聞きに来た気分だった。

●はな平「初天神」
 ポテトヘッドと自己紹介。確かに似ている。コロナ禍でもユーチューブやSNSでいろいろ発信。小さいお子さんがいるようで、そのせいなのかどうなのか、おかみさんが金坊を連れて行けと強要。連れて行かないとタダじゃ置かない感を漂わせていたのが妙にリアル。
 
●漫才 にゃん子・金魚
 金魚ちゃんの頭は猫八仕様。最初は猫の絵がついていたが、着脱式で、外すと猫八の写真が出てきた。細工が細かい。

●ときん「子ほめ」
 浅草の客に大層受けていたし、口跡滑らかで良いと思うのだが、なんか引っ掛かりがないのだろうか。毎年夏ににぎわい座でやるベイスターズファン向けの落語会は面白いのにな。もう少し高座でも自分の色や趣味を出していってもよいのでは。

●一之輔「夏泥」
 千葉県野田出身。「野と田で、都会になることを放棄したようなところですよ」そんな野田を走る東武野田線が東武アーバンパークラインになっていたなんて知らなかった!
大工が泥棒から金をせびるとき、「それだけか? 紙入れの底、つまんじゃいねぇか?」って、不良がカツアゲするときの「飛んでみろ!」みたい。

●曲芸 仙志郎・仙成

●天どん「通信簿」
 「やらかしてしまいました」と云うので何かと思ったら、着物が今日の祝い幕とほぼ同じ萌黄色(かな?)。羽織を脱ぐとさらに背景に溶け込む感じになり「もはや首だけですよ!」。

●菊之丞「長短」
 最近雀々と会をやっているなと思ったら、同じ事務所になったんですね。

●圓歌「やかん工事中」
 浅草の客席は下ネタで大受け。

●マジック ダーク広和
 アクリル板で作ったという黒いボックスを駆使しての「量子マジック」。

●正蔵「松山鏡」
 落語について何か言いたい気持ちはあるが、本当にいつも良い着物を着ている。もうそれだけしか目がいかない。

●馬風 漫談
 椅子を用意するためにいったん幕が下りたので、休憩と勘違いした客が多く席を立ってしまった。おそらく馬風は客席がもうよく見えていないのではないか。

<中入り>

●口上
 祝い幕が御贔屓から送られた、絵本作家あべ弘士によるゴリラと小鳥のイラスト幕に。舞台下手から司会の三三、菊之丞、さん喬、猫八、正楽、正蔵、市馬、馬風の並び。各人が云っていたのが「江戸家(猫八)がやっと寄席に還ってきた」喜びと、先々代、先代との思い出。あと「色物がトリをとることは初めて」と云っていた、小円歌が橘之助を襲名したときはトリだったのでは? それとも三代目も四代目も寄席のトリは取らなかったということなのかな。また色物が口上に並ぶことは普通ないが、今回の披露目では猫八のたっての希望で、正楽に並んでもらっているとのこと。

●漫才 ロケット団

●さん喬「天狗裁き」
 口上では入門したての頃、三代目に何かと可愛がってもらい、四代目ともほぼ同じ年ごろ。気心も合い仲が良かった・・・と思い出語り。

●三三「狸札」
 この出番本当はたい平、喬太郎、白酒の交替枠。この日口上の司会まで務めさせられた三三に依れば「(三人とも)ここにいないということは、外に割の良い仕事があったんでしょう」。

●紙切り 正楽
 「フクロテナガザル」「ゴリラ」のリクエストに、「フクロテナガザルがどういうサルかはわからないんですが・・・」といいつつ、サルと五代目のシルエット。

●市馬「蝦蟇の油」
 会長任期は来年半ばまで。来春の抜擢真打は、最後の打ち上げ花火という感じなんだろうか。

●ものまね 五代目江戸家猫八
 本日舞台上手に置かれた五代目の看板。口上の時は両隣に三代目、四代目の物も一緒に並べられていた。三代目はテレビ放送黎明期から明るいキャラクターで大活躍。「鬼平犯科帳」の密偵や伊丹十三監督の映画「お葬式」での胡乱な葬儀屋など俳優として知られている。四代目も若いうちからバラエティやドラマに出演していたが、小猫の時代が長く、四代目を襲名してからは早くに亡くなってしまった。再婚した三代目の夫人と四代目の夫人が実の姉妹とか、四代目の異母妹が芸協所属の芸人だとか、少々複雑な事情もあり、個人的に四代目には二枚目だがどこか暗さがある冷たい人という印象を持っていたのだが、五代目の思い出話を聞いていると、四代目がすごく良いお父さんだったことがわかる。
 若くして重い病気を患った五代目に「(芸人を)継がなくてもいい」と云っていたという四代目。それでも幼いころ一緒に風呂に入った我が子の小指を口にくわえ、江戸家のお家芸・ウグイスの鳴きまねを聞かせてくれた時、五代目もそこに代々つなげていくべきものを感じたようである。
 二代目小猫時代、とあるイベントで、子供から「カバの鳴きまねを聞かせて」とリクエストされた四代目が、おもむろに両手で大きく口を開くアクションをして「カバーッ」と叫んだのを見て驚いたというエピソード。もちろんカバが「カバーッ」と鳴くはずはない。ないのだが、ただそっくりに演じることが果たして芸として正しいのか?、面白いのか?という問題である。五代目はそこで開眼し、三代目とも四代目とも異なる「こんな動物の声聞いたことない」という、新たな自分なりの動物物まねの世界に進んでいく。全国の動物園に足を運び、飼育員から生態を学び、鳴き声を発する機会を待ち・・・。口上で師匠連が「勉強熱心」とほめそやす一方、「(本当にこんな声で鳴いてるのか)わかりゃしない」。いや、それでいいんだよ!動物物まね芸は鳴き声の再生じゃないんだから。アルパカの鳴き声が、ヌーの鳴き声がこんなだったら「面白くない?」。
 この日、自分は舞台上手側の前列に座っていたのだが、五代目が「おっさんの叫び声」と云われるフクロテナガザルの声まねをしているとき、下手側袖から食い入るように舞台を覗き込んでいる人物が・・・先ほどフクロテナガザルを知らないと云っていた正楽じゃないか!

 自宅で作業をしながら、NHKで始まった小痴楽のラジオの聞き逃し配信を聞く。アシスタントの一花が、高すぎず耳にやさしく、少し甘い声なのが良いですね。一花の落語は好きだけれど、やたら世間の評価が高いと「そこまで?」と思う気持ちも。でも声で得しているところはあるかもしれない。そして個人的見解ですが、声で損しているのはつる子だと思う。







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