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2022年12月07日14:24

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この日記は読まれているか

最近ミステリー小説をよく読むようになった。
宝島社の「このミステリーが凄い」とか文春の「ミステリーベストテン」で選ばれた本を読んでみたらヒットした作品が多かったからだ。
どうやら私は少々ミステリー小説に偏見があったらしい。

以来、毎年ミステリーのベストテンが出るのを楽しみにしている。
けれどベストテンの中から真っ先に手に取るのはランキング1位の作品ではなく、タイトルに惹かれた作品からである。

今回、私がタイトルが気に入って選んだ本は
「あの本は読まれているか」だった。この本のタイトルを目にした瞬間私は「上手いっ」と思った。

昔、ある作家が講演で言っていた。
「タイトルは大切です」と。
当然だ。
タイトルはキャッチコピーのようなものなのだから。
実際、読書が好きな人なら「あの本は読まれているか」という本は間違いなくタイトルで手にとってみたくなると思う。

例えば映画ファンなら映画界の内幕を描いた「イヴの全て」とか「雨に唄えば」
舞台が好きな人ならやはり舞台劇の内幕を描いた「コーラスライン」とか「ブロードウエイより愛を込めて」
つまりファンほど、その世界の内幕を知りたいから映画館なり劇場なりに足を運ぶ。

「あの本は読まれているか」は、そう言った類の本なのだろうか?
つまりヒットした本には仕掛け人とかがいて、そういう内幕が暴露されているのだろうか?と。
そう思って読み始めたら内容は私の予想とは全く違った。
けれど面白かった。

物語の始まりは第二次世界大戦後の、1949年。アメリカとソ連の冷戦時代から始まる。
アメリカは芸術、音楽、文学によってプロパガンダ戦略を強化し、社会主義国家を内側から崩壊させようと目論む。
それに対してソ連は当然厳しい監視の目を光らせる…
その対象になった本とはロシア人の作家が書いた「ドクトル・ジバゴ」

映画をご覧になった方ならなお、読んでみたくなるだろう。

私の知らない時代の、ロシアという国の歴史が、今のウクライナとの戦争にもつながっていると思うと、西側の国の視点で描かれているとは言え、この国を理解するのはとても難しいと思わざるを得ない。

尤も戦争がなく、食べ物に困らなければ大抵の人間は生まれた国に愛着はあるものだから、かの国に生まれていたら私だって今頃「プーチンは偉大だ!プーチンは正しい!」と思ってただろう。

でも「あの本は読まれているか」は邦題で、原題は「The secrets we kept (私たちが守った秘密)」だとか。
洋画でも本でもタイトルの邦題はセンスが問われるが、読んでみたくなるタイトルはこの場合やはり邦題の方だと思う。

処でこの日記を今読まれているあなた。
読んでみる気になったのが「タイトルに惹かれたから」だとしたら嬉しい。
翻訳家のセンスに共感して一緒に「いいね」ボタンを押してもらえたみたいで。

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