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2022年10月31日17:42

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10月30日 池袋演芸場下席夜の部 桂文雀独演会

 
 半年ぶりの文雀独演会。昼間は真打昇進披露目楽日で扇橋が主任。超満員の入りだったとのこと。夜の部も八割ほどの入りで、悪くはなかった。池袋は最前列中央も開放したんですね。
 この日、日比谷で会食あり、ちょこっとビールを飲んでしまった。眠くなると困ると思っていたら、案の定、前座・八楽「やかんなめ」で強烈な眠気が。後に出た文雀が「八楽さんは今日が前座最後の高座です」といって二つ目になるわけではなく、今後は紙切り芸人としてあがることになるのだろう。手品や紙切りの色物さんが前座時代落語で高座にあがるのは、落協では珍しいと思っていたが、色物で落語が出来ると、地域寄席などで喜ばれるそうだ。八楽ほどに落語が出来て愛嬌もあれば、呼ばれた先でさぞ重宝がられるのではないか。

●文雀「抜け裏」
 誰かで聞いた記憶はあるが、思い出せない。昭和に作られた「擬古典新作」で、導入がまるで「長屋の花見」。大家が店子を集めたのは、店賃の取り立てではなく裏路地のこと。体の良い抜け道に使われているので、よそ者が通らないようにしたい・・・という相談に、「猛犬注意」の張り紙をしろという案が採用される。犬なんかいないから、言い出しっぺの男が吠え声を真似てよそ者を撃退することに。何度も吠えているうちに「喉をちょっと湿したいンですがね。いや、水なんかじゃなくて」とくれば、オチはもう読めてくる。下戸の大家夫婦に「探せばなんかあるでしょ?」と最初は下手に、酔うほどに横柄になってくる男が可笑しい。

●漫談 林家ペー

●文雀「天狗裁き」
 夢オチで繰り返し、馬鹿らしくて好きな噺だが、最初の喧嘩で女房に手をあげる流れに、この噺もそのうち何らか改変されるのかしら、などと要らんことを考えてしまった。

<中入り>

●文雀「お藤松五郎」
 この噺、圓生の画像などはユーチューブにあるが、実際に聞くのは初めて。「珍しい噺で、人情噺・・・と云えるかもしれない」と、文雀も少し決めかねている感じだった。実際聞いてみると、手違いに手違いが重なったとんでもない悲劇。前半は両国の水茶屋の看板娘・お藤と元は侍だったという一中節の師匠・松五郎のおずおずと、しかし互いに思い合っていたと知ると急速に進む恋仲の物語。これがそのままうまくいくなら良い話で終わるが、そこに待ったをかけるお藤のパトロン・万屋清三郎の悪辣さ。そして最後は血みどろの結末を仄めかしつつ噺を切る、コンパクトにバッドエンディングがついた「宮戸川(上)」みたいな感じもある。どうしても女男の名前が並ぶ演目は、「おせつ徳三郎」のように二人が結ばれる結末を想像してしまうが、「お若伊之助」も相当「なんじゃこりゃ」な展開だし、油断してはいけませんね。これが落語なんだから。
 今回のように珍しい噺を聞かせてくれるのは、文雀の会の醍醐味となっている。でも「天狗裁き」でも客席は大変受けていたから、この人があまり寄席に出ないのは非常に残念。若手落語家にも良い刺激になりそうなのに。
 








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