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2022年11月01日00:05

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11月に旅立ったオルガニストだった方々

 今日から11月ですが、今月もある程度名前の知られた作曲家の方々が亡くなっておられます。パーセル、メンデルスゾーン、フランク、プッチーニ、ラインベルガー、フォーレといった方々が今月旅立たれたのですが※、この6人にはある一つの共通点があります。生前、(教会)オルガニストだったことがあるという点です。
 まぁ、クラシック音楽の作曲家にはオルガニストから身を立てた人が少なくないので、旅立った作曲家にオルガニストだった人が多いのは今月に限った話ではないのかもしれませんが、そうだとしてもある程度名前の知られた人が6人というのは少ない方ではないと思われます。

 オルガン曲というと、バッハのこの曲が超有名です。
トッカータとフーガ ニ短調:https://www.youtube.com/watch?v=ho9rZjlsyYY

 ただ、あとは時々サンサーンスの交響曲第3番のフィナーレ部分(https://www.youtube.com/watch?v=-TRcHRwHJZU)や、リヒャルト・シュトラウスの交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」の冒頭部分(https://www.youtube.com/watch?v=NQp-QZabdtQ)が紹介される程度で、楽器のバカでかさ、荘厳さに比して、何となく地味な印象を受けます。
 とはいえ、冒頭に挙げた方々も頑張っておられます。
 ただ、オルガニストだったということは、必ずしもオルガン曲を作曲するということには結びつかないらしく、現にフォーレはオルガン曲(独奏曲)を一曲も遺していません。この人にとっては、オルガニストであったことは、生活の資を得る手段にすぎなかったようで、むしろ一説にはオルガンという楽器を嫌悪していたのではないかとさえ見られています。
 でも、こんな変なのはフォーレくらいなもので、他の方々はそれぞれオルガン曲を遺しています。

 まず、パーセルは今日ではブリテンの「青少年のための管弦楽入門」の主題でしか知られていませんが、実はバッハが10歳くらいの時に世を去った人でした(1695.11.21)。
https://www.youtube.com/watch?v=yNYiAblBOjw

 この「青少年のための管弦楽入門」の主題は、パーセルの劇付随音楽『アブデラザール』の「ロンド」の主題による変奏曲とフーガで、今日では、単体ではオルガン用に編曲されて演奏されるのが一般ですが、元々はオルガン曲として作曲されたものではありません。
https://www.youtube.com/watch?v=3Hms-m0nb18

 パーセルのオルガン曲は、バロック音楽の中でも古い感じのする、例えばこんな曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=ibK5hCMJETg


 次に、メンデルスゾーンはパーセルが旅立ってから100年以上も後に生まれた人ですが、多才なこの人は教会オルガニストでもないのに子供の頃からオルガン曲の作曲を始め、自ら演奏していた筋金入りのオルガニストでした。中でも6つのオルガンソナタは、 とくに高く評価され、バッハ作品に次いで、全てのオルガニスト必須のレパートリーであるとみる研究者もいるくらいです(その割りには一般には知られていませんが)。
https://www.youtube.com/watch?v=5Pf477Yg7xs&list=PLasRTXzrRCD38RcQfrJy9cJY4w1JWkmmN


 ただ、メンデルスゾーンは38歳で夭折したこともあって、その時代にオルガンの大家として世評が高かったのはフランクでした。もっとも、この人がオルガン曲の作曲や演奏に本腰を入れ出したのは、銀行家だった父親の意に沿わぬ結婚をしたために両親と決別した25歳頃からだったと伝えられています(結婚に際し教区となった教会のオルガニスト補佐になったのがきっかけだったようです)。そのオルガン作品の中でも『前奏曲、フーガと変奏曲』op.18と『コラール第1番』は傑作とされています。
『前奏曲、フーガと変奏曲』op.18:https://www.youtube.com/watch?v=_WSVigWSNjc

『コラール第1番』:https://www.youtube.com/watch?v=3lWJCJbihrE


 これらの作曲家と比べて、ラインベルガーはやや地味ですが、オルガニスト、指揮者としては、フランクの少し後の時代の第一人者で、オルガン協奏曲は代表作とされています。
https://www.youtube.com/watch?v=Gr4SnjXBONI


 最後にプッチーニは、もちろん、あのオペラ作曲家として有名なプッチーニですが、この人は教会オルガニストとしてそのキャリアをスタートさせたこともあって、意外とたくさんのオルガン曲を遺しています。それらの芸術的価値はこの人のオペラ作品に比べれば大したことはないのかもしれませんが、個人的には結構親しみやすさを感じました。
https://www.youtube.com/watch?v=enNIPj8jLLk&list=PLTnNHBrYVLxD07QIhBbROPsJ9ApDg3-yj&index=19


 ところで、こうして聴いてくると、(もちろん聴きようにもよりますが)オルガン曲というのは、絶大な荘厳さがある反面、ともすれば一本調子に聴こえると言うのか、なんとなく強弱のメリハリがあまく、どこか平板に聴こえることがあるような気もします。
 おそらく、これは楽器の構造に由来するもので、オルガンはピアノと違って、鍵盤を強く弾いても弱く弾いても、音の強弱や音色の差がつかないそうです。個々の音の「長さ・短さ」を巧みにコントロールして音にコントラストを与えることで、この欠点を弱めることはできますが、多分、フォーレなどはその程度のことでは満足できなかったのでしょう。オルガニストとしてオルガンの得失を知り尽くしていたからこそ、かえってオルガン曲を作曲しないことになったのではないか、などと勝手に憶測しています(同じ鍵盤楽器でもピアノについては、ほとんど全部の室内楽作品でフォーレがこれを使っていることは、その根拠になるかもです)。


※ 実は、11月にはこの他ロッシーニやモンテヴェルディ、ファリャらも旅立っています。
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