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2022年03月24日01:09

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彼の国 その2

北方領土墓参団に付いた通訳陣は、強力だった。
私の公演中の通訳は、サハリン生まれの日本人―ロシア人とのハーフ。
ネイティブなロシア語が話せるからと
通訳陣のリーダーが敢えてつけてくれた。
子どもがいるとのことだったが、実にきれいな女性だった。

択捉島の文化担当長官宅に伺った時は、
ロシア演劇に精通した人が付いてくれた。
これもリーダーの手配だった。
お陰で相当突っ込んだ話ができ、
その報告と将来への展望をレポートにまとめたら、
日本政府の関係者に回ったと聞いた。

それから数か月後、
墓参団の通訳が、ロシアに逮捕されたと新聞記事にあった。
大金を隠し持っていたとのこと。
その人の名前を見てびっくり、
ロシア演劇に精通したその人だった。
大金を隠し持っていたなんて、あり得なかった。
すぐにリーダーに連絡を取ると
心配しなくてよいだろうとのこと、
確かに2週間しないうちに解放された。
何故通訳者は、でっち上げまでされて逮捕されたのだろうか。
当時の日本の首相は、2島が返還されるとはしゃいでいた。
そのことに冷水を浴びせられた形になったが、
首相の誤った外交のお陰で逮捕されたのでは
通訳者は堪ったものではなかったろう。
ロシアにしてみれば、
語学が堪能なだけに、逮捕しやすかったのかもしれない。

ロシアは、でっち上げが日常茶飯事だ。
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