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2021年11月07日23:53

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時流とずれてしまった物語 『ワンダーウーマン1984』

女性監督作品で最大の興収を記録した前作の続編は、かわらず女性視点へと寄った作風でダイアナ・プリンス/ワンダーウーマンの活躍を盛り上げる。だが新型ウイルスの影響で公開を延期した結果、本作の内容は時流とずれてしまった。

あらゆる願望を成就させ「願いを叶える石」。

この「石」を手に入れたビジネスマンのマックスは、自身を「石」そのものと化し世界を我が物にしようとする。ダイアナはマックスをとめようとするが、「石」はダイアナの願望も成就。前作で死亡した恋人でパイロットのスティーヴを復活させてしまう。*1

マックスのモデルがアメリカ前大統領ドナルド・トランプなのは間違いない。

トランプは80年代〜90年代にTV放送で露出をふやし成功した人物。作中でのマックスが取る手法も同様で、実際TVは本作の重要なキーアイテムだ。*2

もちろん映画の内容はこれだけではないものの、監督は確実にトランプ批判を映画へとこめたはずだ。トランプというよりも当時のアメリカ社会かもしれないが。

ところが公開延期で現実は変化した。

トランプは破れ時流はかわってしまった。フィクションはしょせんフィクション。現実がフィクション以上になれば急激に陳腐化する。*3

結果、映画は時代遅れの雰囲気をまとってしまった。

エジプトでの車上のチェイスをはじめ、DCヒーロー作品としては及第だが、監督のメッセージが先鋭化しすぎ前作よりバランスがわるいのも残念なところだ。*4


※1 正確にはスティーヴではない。ダイアナにとってスティーヴの姿に見える彼の人格が宿る別人だ。ダイアナの願望はスティーヴの宿る肉体の人格をうばってしまう。

※2 マックスはTVを使用して願望を成就した人々のエネルギーを吸い上げる。このためダイアナはスティーヴが存在しているかぎり本来の能力を失う。

※3 結局、「現実」の物事にフィクションはかなわないのだ。なぜならフィクションは「現実」にならず「現実」はフィクションとき一緒にならないからだ。

※4 みんなのヒーロー映画だという「前提」を忘れ、自身のイデオロギーを発信する手段にしてまっているきらいもある。
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