前座のヒーローがグロゴア全開で全滅。*1 本当のヒーローが姿を現す「ふざけた」冒頭からジェームズ・ガンのセンスとカラーが爆発する。だが、タチの悪い冗談のような作品は“自殺部隊”が悪玉から善玉へなりかわったとき“転調”する。
全体の物語は単純だ。タスクフォースXのアマンダ・ウォーラーは、*2 大幅な減刑と引き換えに収監した悪人ヒーローを独裁国家の島へ送り込む。ウォーラーの目的は島が行う機密研究の回収。この研究とは凶悪宇宙生物スターロへと関係していた。
監督はやはりヒーローをカッコよく見せる撮り方や演出に傑出している。
銃を撃って撃って撃ちまくるハーレイ・クインの周囲から吹き出す大量の花々。変形する銃の構えるブラッドスポートの鷹の眼。監督いわく情けないアラン・ムーア風衣裳のポルカドットマンさえ、必殺の水玉を投げるポーズをきめたとたんにカッコよくなる。*3
同時に監督はやはりヒーローに真摯(しんし)だ。
DC作品の魅力とは、ヒーローがヒーローであるがゆえに自身の光と影にゆれるところ。作品の最後で物語はいままでの見方を一変させてしまう。
ピース―メイカーの二つ名“平和の使者”が持つ真実の意味。*4 自国の利益以外は切り捨てるウォーラー。「ただしさ」などない。
だが、このとき“自殺部隊”が「ただしさ」を取り戻す。あれだけふざけた全員がヒーローとなって人々を救い守る。
その“転調”がじつに爽快ですがすがしい。
※1 キャプテン・ブーメラン、サバント、ヴィーゼル、ジャベリン、T.D.K、ブラックガード、モンガルはやられます。冒頭サバントなんかはめちゃくちゃ不敵な面構えで登場するのに。サバント = マイケル・ルーカー = GotGのヨンドゥだよ。でも最後この全滅はタチの悪いジョークに発展する。
※2 前作から引き続き登場しているのはアマンダ・ウォーラー(ヴィオラ・デイヴィス)、ハーレイ・クイン(マーゴット・ロビー)、キャプテン・ブーメラン(ジェイ・コートニー)、リック・フラッグ(ジョエル・キナマン)
※3 ちょっとJOJOっぽいポーズ。
※4 なるほど。そういう意味での“平和の使者”な。ちなみにピースメイカー主演のテレビドラマもガン脚本で制作されるらしい。
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