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2021年09月10日23:50

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悪玉が善玉にかわるとき物語にヒーローの魂が宿る転調 『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』

前座のヒーローがグロゴア全開で全滅。*1 本当のヒーローが姿を現す「ふざけた」冒頭からジェームズ・ガンのセンスとカラーが爆発する。だが、タチの悪い冗談のような作品は“自殺部隊”が悪玉から善玉へなりかわったとき“転調”する。

全体の物語は単純だ。タスクフォースXのアマンダ・ウォーラーは、*2 大幅な減刑と引き換えに収監した悪人ヒーローを独裁国家の島へ送り込む。ウォーラーの目的は島が行う機密研究の回収。この研究とは凶悪宇宙生物スターロへと関係していた。

監督はやはりヒーローをカッコよく見せる撮り方や演出に傑出している。

銃を撃って撃って撃ちまくるハーレイ・クインの周囲から吹き出す大量の花々。変形する銃の構えるブラッドスポートの鷹の眼。監督いわく情けないアラン・ムーア風衣裳のポルカドットマンさえ、必殺の水玉を投げるポーズをきめたとたんにカッコよくなる。*3

同時に監督はやはりヒーローに真摯(しんし)だ。

DC作品の魅力とは、ヒーローがヒーローであるがゆえに自身の光と影にゆれるところ。作品の最後で物語はいままでの見方を一変させてしまう。

ピース―メイカーの二つ名“平和の使者”が持つ真実の意味。*4 自国の利益以外は切り捨てるウォーラー。「ただしさ」などない。

だが、このとき“自殺部隊”が「ただしさ」を取り戻す。あれだけふざけた全員がヒーローとなって人々を救い守る。

その“転調”がじつに爽快ですがすがしい。


※1 キャプテン・ブーメラン、サバント、ヴィーゼル、ジャベリン、T.D.K、ブラックガード、モンガルはやられます。冒頭サバントなんかはめちゃくちゃ不敵な面構えで登場するのに。サバント = マイケル・ルーカー = GotGのヨンドゥだよ。でも最後この全滅はタチの悪いジョークに発展する。

※2 前作から引き続き登場しているのはアマンダ・ウォーラー(ヴィオラ・デイヴィス)、ハーレイ・クイン(マーゴット・ロビー)、キャプテン・ブーメラン(ジェイ・コートニー)、リック・フラッグ(ジョエル・キナマン)

※3 ちょっとJOJOっぽいポーズ。

※4 なるほど。そういう意味での“平和の使者”な。ちなみにピースメイカー主演のテレビドラマもガン脚本で制作されるらしい。
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