今年はうし年ということなので、何か牛に関する曲でもないかとちょっとググってみたところ、こんなのが見つかりました。
ダリウス・ミヨーのバレエ音楽『屋根の上の牡牛』です。
https://www.youtube.com/watch?v=rAhTz6eDKF0
この曲については、この名のカクテルまであるらしく(→ミヨーの名作「屋根の上の牡牛」の名をもつカクテルを復刻! 1920年代のパリを味わう|音楽っていいなぁ、を毎日に。| Webマガジン「ONTOMO」 (ontomo-mag.com))、一度味わってみたいものです。
が、それはすぐには実現しそうもないので、今回は、この曲が元々チャールズ・チャップリンの無声映画のために作曲されたという話にくいついてみました。確かに、言われてみれば、曲の感じが、なんとなく無声映画のドタバタに合いそうにも思われますので、果たしてチャップリンのどの作品のためにこの曲が作曲されたものであったのかが気になったのです。
結論からいうと、この点について究明することはできなかったのですが、「Chaplin cow」で検索しているうちに、この動画に巡り会いました。
Chalie Chaplin cow boy - YouTube(便宜上「動画A」とします)
大量の牛が市街に溢れて人々が慌てふためいています。しかも、“Chalie Chaplin cow boy”という動画タイトルにもかかわらず、チャップリンが登場するシーンが全くありません。
同様に、“Charlie chaplin _The cowboy(1925)funny video.”と題するこんな動画も出てきました。
Charlie chaplin _The cowboy(1925)funny video. - YouTube(便宜上「動画B」とします)
ここにもチャップリンは全く登場していません。
いったいこれはどういうことなのかと、この2つの動画をよくよく観てみると、チャップリンは出ていないものの、バスター・キートンが出ていることに気がつきました。キートンといえば、チャップリン、ハロルド・ロイドと共に無声期のアメリカ映画(喜劇)を支えた3大巨匠の一人ともいえる大物の監督・俳優です。日本における人気も根強く、キートン山田や故益田喜頓(ますだ・きいとん)らは、いずれもキートンにあやかって芸名に取り入れたほどです。
そこで、キートンの1925年の映画を調べてみると、『キートンの西部成金(キートンのゴー・ウェスト!)』(原題:Go West)という作品があったことを突き止めました。どうやら、動画A、Bはいずれもその1場面であったようです。
作品のおおすじとしては、動画Bに見られるような事情から一頭の牝牛と仲良くなったキートンが、絶えずその牝牛を連れ歩き、牝牛が精肉業者に売り飛ばされたりしないように孤軍奮闘しているうちに、ついには動画Aに見られるような騒ぎに巻き込まれ…というものらしいです。
この作品は、今日ではどういうわけか全く埋もれてしまっているようですが、数あるキートンの長編作品のうちでも屈指の傑作らしいので、うし年の今年は是非観てみたいものです。
それにしても、なぜ動画A、BのタイトルにBuster Keatonではなく、Charlie Chaplinの名が付されていたのかは今もって謎です。通常なら、失礼な話と怒るべきところなのでしょうが、今回はおかげで埋もれた作品にも巡り会えたわけですから、まぁ良しとしますか。
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