「忘れるだけ 忘れてしまえ
肝心なものだけ 残るだろう
その残ったものを描け」
〜辻晉堂(彫刻家)
しかし,私たちは
いつまでも覚えていたいことは忘れ,
今すぐにでも忘れたいことは,いつまでも覚えている。
この辻晉堂の言葉も,まるで今日何を食べたかのように,何日かしたら忘れてしまうだろう。
だからこうして,忘れないように,電脳空間の日記に「言葉」として書き付ける。
そうして「言葉」は,電脳空間の大海原に放たれる。
鮭の稚魚の放流のように,電脳空間の大海原を泳ぎ出す。
いつかどこかで,誰かの心の網に引っかかったりするかも知れない。
過去の日記を読み返すとき,「言葉」は,海に育まれ成長した鮭のように,
大海原からさかのぼる,ひとすじの川の流れを遡上して,私の元へと帰ってくる。
そのとき,その「言葉」が,生まれ故郷の川を遡上して満身創痍になりつつも、まるで今日生まれたかのように生き生きとした輝きを放っていたとしたら,
きっとそれは辻晉堂の言う「肝心なものだけ 残」ったものなのだろう。
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