前に住んでいた家は何かおかしかった。
二階建ての一軒家、その一階でのんびりとしていたら、
「ぎしぎしぎし」
二階の部屋から歩く音がした。今家に居るのはおばあちゃん、弟、母親、自分の四人。
全員一階に居る。それなのに、
「ぎしぎしぎし」
二階の部屋の中を歩く音は続く。しばらくすると、
「ドンッ」
と、大きな音がした。何か落ちたのかと弟と見に行くと何も落ちていないし倒れてもいなかった。
この現象は朝も昼も夜も関係なく起こった。
誰かが二階の部屋に居ると音はしない。その代わりに二階に居る人の上から長い髪が一、二本落ちてくるという現象が起きる。
二階には叔父さんの部屋もあったが「視線を感じる」とよく言っていた。
母親が寝ようと部屋の明かりを消したら、
「ぎしっぎしっぎしっ」
階段を上ってくる音がした。もう二階に上がってくる人はいない。真っ暗な階段を誰が上がるんだと母親は怖くなり布団をかぶる。
母親が眠りにつくまでその音は永遠と続いたようだ。
母親が深夜お風呂に入り体を拭いていたら、
「コンコンコン」
と、ノックされ誰だろうと開けてみると誰もいないというのを何度も体験し深夜にお風呂に入るのを止めた。
一人で留守番していると必ず食器棚の食器が、
「カチャカチャカチャ」
音を立て続ける。一人ではなくなるとその音はやむ。
深夜にトイレに行くと「おい」と男性の声が聞こえる。声の方向は真上から。
一回だけしか聞こえないが不気味でトイレに行くのをためらってしまう。
おばあちゃんと弟が「深夜にチャイムが鳴った」と同じ日に言う。
チャイムが鳴った瞬間、弟は外を見たが誰もいなかったそうだ。
引っ越した今は二人とも深夜のチャイムを聞いていないようである。
台所の隣の部屋のもう一人の叔父が「深夜台所で誰かが笑ってる声がする」と言う。誰だろうと覗くと真っ暗で誰もいない。それがたまにあったと言っていた。
音はこれくらい。思い出したら追加します。
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