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2019年09月15日05:00

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千葉県内の「準ブラックアウト」は東電バッシングのツケ

 台風15号に直撃された千葉県で、大半が大規模停電に見舞われている(写真=千葉市の東京に近い沿岸部だけ電気が来ていて、手前は真っ暗)。
 広範囲に送電網がやられたから、復旧は遅々として進まない(図=上は12日夕方、下は14日正午現在)。

◎生まれ故郷も高校に通った所も停電
 僕の生まれ故郷も、子どもの頃に自転車で良く遊びに行った隣街も、さらに高校に通った街も、停電である。その後は、浄水施設やポンプが停電で止まり、大規模な断水、となっている。
 電気が途絶すると、通信施設もダウンするうえ、スマホもバッテリー切れを起こすので、通話はもちろんインターネットすら使えない。
 まさに三重苦、である。
 地図で見ると、我が街のある千葉県北西部だけが停電を免れ、それ以外の県全体が大なり小なり停電の惨禍にある。

◎原発を1基も稼働させず手足を縛って
 世の中では、復旧が遅く、甘い見通しを裏切り続け、被災者を失望させる東京電力に非難を投げかける声が多いが、僕には「いつかこうなるかもしれない」という予感が的中した、という思いが強い。
 何も東電が好き好んで手を抜いているわけではない。送電システム更新のカネがなかったことが、大きな原因だからだ。
 東電は、自社の持つ福島第1と第2、さらに柏崎刈羽の3個所の原発が、ずっと停止中だ。福島第1と第2は廃炉になるからやむを得ないが、何ら問題のない柏崎刈羽原発が理由不明のまま、東日本大震災以来、ずっと運転休止中だ。
 原子力発電所は、開発と運転開始前までの投資に兆単位の資金がかかる。それが、ずっと「不良資産」となって、塩漬けのままだ。

◎カネがなく、更新投資は先送りを続けて
 だから東電には、カネがない。他の8電力会社が配当を出しているのに(北陸電力のみ前期まで2期連続無配だが、今期は復配予定)、福島第1原発の事故以来、東電だけずっと無配のままだ。
 実際、東電は福島原発事故の前の、例えば1991年には実に約9000億円も送電や配電設備に投資してきたのに、事故後の2015年には8割減の約2000億円まで減らしている。
 送電網の鉄塔や電信柱など、40〜50年で更新してきたものが、今は目視で「まだもちそうだ」と判断した古い施設をそのまま使って、更新を先送りしている。
 そこに強い台風の襲撃で、強風や倒木などで送電網がズタズタになった。
 10万戸もの大規模停電につながった君津市の倒壊した鉄塔(写真)は、72年に完成した「老体」だから、実に半世紀近くも更新されていない。おそらく経年劣化と錆の浸食で、強風に耐えられなかったのだろう。
 要するに、世間が東電を虐めすぎたのである。

◎北海道電力の教訓
 更新投資の節減は、そのうち発電所本体にも及びかねない。例えば夏と厳冬のピーク時に、大型発電所がいきなり故障したら、悪くすると管内のブラックアウトになりかねない。
 ブラックアウトの恐怖は、昨年9月の北海道胆振東部地震の後の北海道全体の大停電で、広く知られたはずだ。この時、北海道内の電力の半分を供給していた苫東厚真火力発電所が停止し、それがブラックアウトにつながった。この時、震源地から遠い泊原発が動いていれば、ブラックアウトにならずに済んだはずだ。
 ところがその教訓を忘れたかのように、関東では今度の台風15号で、千葉県が準ブラックアウト見舞われた。
 猛暑の時なので、老人が何人か熱中症で亡くなった。もし北電のブラックアウトが真冬であれば、凍死者が出ていたはずだ。
 原発を止めるコストの大きさに、いいかげん覚醒すべきだ(他に、火力発電に頼るために二酸化炭素を大量排出し、外国の環境保護派から白眼視されているうえに、LNGなどの燃料輸入のために莫大な外貨も浪費していることは、ここでは取り上げない)。

注 容量制限をオーバーしているため、読者の皆様方にまことに申し訳ありませんが、本日記に写真を掲載できません。
 写真をご覧になりたい方は、お手数ですが、https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/201909150000/をクリックし、楽天ブログに飛んでいただければ、写真を見ることができます。

昨年の今日の日記:「かつてのエクセレント企業のパイオニア、外資投資ファンドの傘下に」
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