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2018年09月23日10:42

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妄想物語

〜氷の上にたつように〜

段々と日が短くなってきた

放課後の部活連中が練習を終えようとする頃
僕達もなんとなく解散の雰囲気が漂う
このバンドにはルールとか規律というものはなくて
ふらっと集まってふわっと解散する
たまに演奏に興じてしまうと
先生にもう帰りなさいと言われるまで
教室にいる事もある
一緒に居残っている仲良し女子グループが
僕達の練習にのりのりになる時も
調子に乗って結構遅くなってしまう

もう帰らなくちゃと中庭の上の空を
いつもの様に両肘ついて見ていると
音桶さんが隣に来て僕と同じ格好になって空を見て言った

『何を見てるんですか?』

「うん UFO飛んでないかなって思って」

『UFO?』

「空飛ぶ円盤」

『見た事あるんですか?』

「うん でも未確認の飛行物体っていう意味では違うけど」

僕は体を起こして ポケットから自分の中では結論づけている被写
体が映っている写真を出して 両手の親指と人差し指でつまんで
また両肘をついた
音桶さんが体をくっつけて覗き込んでくる
僕は少し動揺する

『ふーん 確かに未確認っぽいですけど何故意味が違うんですか?』

「えっ!?」

いつの間にか左横に外堀さんが同じ格好で写真を流し目で見ながら
発言したものだから 僕はまた動揺する
彼女は物事の疑問に対して 論理的裏付けを検索模索して解決する
僕は何度か彼女に正解を求めることがあって助かっている
勉強の事じゃないけど

「UFOじゃなくて最新鋭ステルス爆撃機のテスト飛行じゃないかと
思ってるんだ 撮った時間は明け方だし ちょっと離れているけど
自衛隊の基地もあるし」

『確かにこのシルエットだと仮にUFOだとしたら左右上下どこに
飛んでいるのか判らないけど 飛行機だとしたら汐ゐさんが撮った
方向からこっちに向かっているか向こうに飛んで行ってるかのどっち
かで それに二機編隊っていうのもテスト飛行っぽいですね』

「凄い分析だね さすが外堀さん」

『そ‥そうでもないっス』

彼女は論理展開になると別人の様に流ちょうに話すけど
それ以外の受け答えになるといつものオーラ消しの存在に戻る
そして瞬間的に顔が赤くなる
音桶さんと一緒だ

「そうなんだよね 機影からしてB2スプリットだと思うんだけど
開発中の次期爆撃機B21レイダーって線もあるかと思うんだ
機影は未発表だけどね
ねえ 音桶さんはどう思う?」

『これに乘ってみたい‥』

これまた彼女らしい天真爛漫な応え

三人が暫く無言で写真を見つめていると 後ろから声がした

『私の国に行って乗ってみませんか?』

有賀さんが立っていた
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