●ネットニュースで児童文学者・大塚勇三の訃報。「スーホの白い馬」のと書かれているが、児童文学好きな人には、リンドグレーンや「スプーンおばさん」などドイツ・北欧系児童文学の翻訳家という認識だろうか。子供のころ、この人が訳したプロイスラーの「小さな魔女」大好きだった。「ワルプルギスのよるばんざーい!」この人がいなければ「パンダコパンダ」に始まる一連のジブリアニメは生まれなかったとまでは云えないか。しかし「パンダコパンダ」って、大人の目で見返すとちょっと気持ち悪い設定だ●
中席も今日が楽日。末廣亭の昇太主任夜の部へ行こうか、鈴本夜の部へ行こうか迷ったが、昼過ぎに鈴本を覗いたらまだ当日券が手に入るようだったのでこちらに。3500円で普段よりお高いが、この顔ぶれでは仕方がないか。
●東三楼「初天神」
特別興行なので前座の開口一番はなく、双方一門の真打が10人揃って日替わりと云う、贅沢なのか詰め込みなのか、ショーケースみたいな枠の出番。東三楼と云えば、昨年小八の披露目で「子褒め」を度忘れして大いに焦っていた。何度も云うのは可哀想だが、珍しかったので記憶に残ってしまった。やたらおかみさんが積極的に金坊同伴を推してくる「初天神」だった。
●太神楽曲芸 鏡昧仙三郎社中
久しぶりに三人揃ったところが見られて良かった。
●雲助「ざるや」
今年雲助を寄席で三回くらいしか聞いていないのだが、全部「ざるや」ではなかったかな。寄席も主任の時か、ちゃんと落語会に行かないとね、
●一之輔「堀の内」
出てくるなり盛大な拍手。最初の10人真打ちのことを考えると、この人が堂々とこの出番なのは凄いこと。まくらで家族でドイツ旅行に行く直前に奥さんがバルサンをたくと云い出したという話。熊五郎、物忘れでどもってるうちにラップになっちゃうのが可笑しい。たばこ屋さんも「お客じゃなくてラッパーが来た」って。
●市馬「天災」
乱暴者の八五郎が心学の先生に教えを受けているところからスタート。ところでセラピストというのは、AIが導入してもなくならない仕事らしいが、それ本当かしら。
●漫才 ホンキートンク
●喬太郎「同棲したい」
南こうせつとかぐや姫を知っている年齢層の客ばかりでよかった。パンツ一枚で四畳半一間にいる(せめてシュミーズくらい着せてやって)ズベ公感漂う爛れた感じのお母さん、由美かおるや秋吉久美子より、大信田礼子ふう。
●露の新治「紙入れ」
前も後ろも本日の顔ぶれは凄い、大阪でも喬太郎の人気は高い・・・と持ち上げて、絶妙に色っぽい「紙入れ」を披露。この人の落語は3度目だが毎度「紙入れ」。でも2年おきくらいに見るから割と新鮮。とりあえず何度見てもこのおかみさんにはやられてしまう。
<中入り>
●粋曲 小菊
●さん喬「寝床」
来年30回を迎えるというこの会も、末廣亭年末の余一会も長い。文蔵と喬太郎の会となども、長く続けて行けばこの二人のようになるのだろうか。今の中堅若手もいろいろだが、さん喬・権太楼の二人に匹敵するような組み合わせって思いつかない。店立てをくらってはまずいと、しぶしぶ長屋一同が義太夫を聞きに来る件でサゲまではいかなかったが充分満足の一席。
●紙切り 正楽
「猫の親子」を頼んだ客がいて、出来上がりに「かわいい〜」の嬌声が。
●権太楼「唐茄子屋政談」
知り合いに零落した姿を見せたくないばかりに売り声を控えていた若旦那が、田んぼのあぜ道でか細く声を上げ始める。顔をあげると田んぼの向こうに吉原。夢のように楽しかった・・・と吉原に居続けの日々を懐かしむ、現世から竜宮城を覗くような、その様子がほんのり哀しい。浦島太郎になりかけた若旦那が、此岸で生きていくと決意する場面である。そこから後半へ続いて、浪人の妻が縊死を図る件以降のこの噺はあんまり好きではない。死ぬ必然性があるのか?と思うんだけど・・・。
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