●数日前から危篤状態と報じられていたから覚悟はできていたが、アレサ、寂しいよ! でも永遠に!●
巷で話題の映画「カメラを止めるな!」を見た。ミニシアターで始まった限定的な上映が、またたく間に拡大。おかげで横浜ではシネコンで見られることになった。そのムービル1がほとんど満席の入りというのがすごい。映画の質からしてファミリーがメインではないので、ほとんどが大人の一人客かカップルという、ミニシアターの客層がそのままシネコンに移動した感じ。それでこの動員なのだから。
見ているうちに思い出した作品が「運命じゃない人」(2005)。新人監督のノーマーク作品、劇中に張り巡らせた伏線をラストまでにキレイに回収してくれるという二点で共通している。何度も使える手法ではないが・・・。映画については何を書いてもネタバレになるので、とりあえずラストの解釈を観客に丸投げするような作品ではないとだけ。
盆と正月はプークで新作落語。三日連続の初日でトリが喬太郎なので、狭い劇場が満員御礼。
●前座 あおもり「コンゴの母」
コンゴからやってきた占い師「コンゴの母」ことビッグママと、彼女についてきたいい加減な通訳をめぐるドタバタ。まだ前座だったのかと思ったが、かな文や小駒もまだ二つ目ではないんだから当たり前だな。さすがに見る側も慣れてきたので、あの、次に繰り出す一手が読めない、不安定さを楽しむ感じは薄れてきた。
●天歌「会社の窓」
初めて見ると思っていたが、前座名・ございます、では何度か聞いている。会長のズボンのチャックが開いていることを気づかせるために四苦八苦する社員の話。途中で会長と専務の役職名がごっちゃになってしまった。
●駒次「すももの思い出」
マクラでは調布のインターナショナルスクールで「伝統芸能」としての落語を演じるハメに陥った件を。日本語がほぼほぼわからない生徒たちを前に「最近古典落語やっていなかった」駒次が四苦八苦したそうな。この秋昇進。新作落語の担い手として非常に期待しているので、披露目の時は新作やって欲しいな。
●つくし「川柳いろはがるた」
師匠・川柳の「ちょっといい話」と、「良い話ではすまない話」を披露。それだけで成立してしまうのだから、川柳のキャラクターはスゴイ。体調と記憶が思わしくないらしく、確かに最近寄席で見ない。ブラックの会と、夏のガーコンまつりには出るらしいのだが。
●清麿「裏町エレジー」
金春通りの路地にある会員制のバー。その店の正会員になるためには、二人以上の会員から指名を受けて、その人の話を聞かなければならない・・・星新一のショートショートのような噺。
中入り
●丈二「M太郎」
ついに朗読落語の境地に至った師匠・圓丈。弟子を集めては「オマエたち、俺の欠点を一人づつ挙げて見ろ」と迫るとか。「オレはMなんだ!」と圓丈は自称するが、「いや、自分の欠点を弟子たちに云わせるなんて、むしろドSでしょ!」と丈二。一同師匠の怒りの地雷を踏まないように、婉曲に・・・でその場を収めようとするらしいが、「そんなときも空気読まずに地雷を踏むのが白鳥アニさん」。ドリフのコントみたいにお約束な展開だな! 落語は夜ふかしが過ぎる子供へ物語を聞かせる「桃太郎」と見せかけての、ローソクから生まれた「M太郎」がサドが島に女王様を退治に行くというお話。丈二はときに「化けた」と思えるほど面白い。その確率がもう少し高ければ良いのにな。
●喬太郎「すなっくらんどぞめき」
池袋が好きすぎて池袋トリビア披露がとまらない若旦那。父親から遊ぶなら銀座か六本木にしろと怒られても、小僧の定吉を相手に池袋談義。中でも忘れがたいのが、かつて東口の地下にあった「すなっくらんど」。そんな若旦那のために、出入りの職人を集めて二階に「すなっくらんど」を再現する・・・。パルコ側の地下にあった「すなっくらんど」はおぼろげに覚えているが、あそこで寿司が食べたいと思ったことは無いなぁ。むしろ忘れがたいのは、喬太郎の落語には出てこなかったが、いか焼きではなかろうか。関東で祭の屋台で売られている串刺しのイカではなく、関西のイカ焼きだったように記憶している。どうしようもない場末感が漂っていたのは同意。というか、ひと頃の池袋の街のイメージを代表していたのが、すなっくらんどだった。21世紀に入って間もなく、まだぎりぎりレストランの前に実物のランチ見本を置く店があったころ。前を歩いていた人が、いきなりカバーを開けて見本のランチを手づかみで食べる場面に遭遇したのは池袋と蒲田だった。
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