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2018年08月08日12:04

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妻を見送る夫

俳優の津川雅彦さん(78)が7月4日心不全で亡くなっていたことがわかった。妻を見送ってわずか2か月で逝くとはちょっとびっくり。

妻の朝丘雪路さんが認知症を患っていることはずいぶん前から報道されていたけど、津川氏本人が闘病していたとは報道されていない。しかし雪路さんが亡くなったときに久しぶりに報道陣の前に姿をみせた津川氏は痩せて鼻には酸素チューブをつけていたし(同じく7月に亡くなった桂歌丸さんがつけていたみたいな)、きっと本人もかなりな重病を抱えているのだろうなとは思った。彼が妻の介護を誰かに任せていた(自身が介護できていない)のもわかった。

「病気の妻をあとに残すのはかわいそう。私より先に死んでくれてありがとう」という言葉をはじめ
彼の口からは感謝の言葉ばかりが語られ、今思えばあれが遺言(自身の辞世の謝辞)ではなかったかとも思う。

奇しくも兄の長門裕之氏も妻の南田洋子を見送ってほどなくして亡くなった。そのことを7年前日記に書いている。兄弟して妻に先立たれる運命だったのか。
*「添い遂げて逝く」 http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1726328977&owner_id=168303

長門氏の場合は妻を自分で介護する様子をけっこう公表していて賛否両論起こっていたけれど、津川氏の場合は妻の介護に関しては一切語っていない。しかし兄も弟も大女優を妻にした男の宿命というものを長年背負ってきたのではないだろうか。

兄の長門裕之にとって妻南田洋子に先立たれるのは本意ではなかっただろうが、津川雅之にとって妻朝丘雪路に先立たれるのは本意だったと思う。自分が妻を見送りたい、年上の妻より先には死ねない、と思っていた。そしてその志を貫いた。

日本を代表する俳優さんだった。NHK大河ドラマ「葵徳川三代」では徳川家康を演じた。脚本を書いたジェームス三木さんは津川氏のことを「真面目な遊び人」と称す。「マルサの女」ほか伊丹十三の映画にも常連で山崎努と双璧の演技力を競っていた。

兄とともに映画界のサラブレットとして長年演技の世界を牽引してきたが、その一族(マキノ家)のポリシーは【粋】であること。

*「マキノ雅彦」 http://mixi.jp/view_diary.pl?id=74228757&owner_id=168303

上記の日記にも書いたが
津川雅彦の伯父マキノ雅弘監督は近年の映画に関して「ドラマはあるけど(ドラマ)チックがない。」と常々いっていたそうだ。
映画は常に時代のニーズを知り、観衆が見たいものを撮らなければならない。観衆に媚びる姿勢、つまり観衆への媚態を演じることから映画の『艶』が生まれると。

監督が自らの主義主張あるいは人間の理想を観衆に押し付けるとか映画を通じて説教をしてはならない。 見せたい映画ではなく観衆が見たいと思う映画を作れ。 それが【粋】というものだと。

津川雅彦は確かに艶のある【粋】な俳優さんだったなぁ。

大衆は、認知症の妻を残してさっさと自分が先に死ぬ夫より、年上の妻の最期を看取ってみなに感謝の挨拶をしてから自分もすぐに後を追う。そんな夫を見たい。そのほうが絶対ドラマチックだし【粋】ではないか。
彼の最期はまさに大衆の望んだ映画のような最期だったような気がする。


俳優の津川雅彦さんが死去
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=84&from=diary&id=5235033
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