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2018年04月26日13:52

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レット・ザ・サンシャイン・イン

オトナの恋はこころと軀、ふたつの充足を求める。若者のように心だけ、カラダだけということはありえないのだ。(田辺聖子のアフォリズムより)

2017年ベルリン国際映画祭で金熊賞を受賞した映画のタイトルからこの言葉を思い浮かべた。
http://www.senlis.co.jp/kokoroto-karadato/


さて、こちらは2017年のフランスの映画「レット・ザ・サンシャイン・イン」(クレール・ドゥニ監督)http://eiga.com/movie/87880/

心とからだの充足を期待してオトナの恋をさがしつづける中年女(ジュリエット・ビノシュ)。
「愛はないけど貴女はほしい」「貴女を失いたくない、でも妻とは別れられない」・・彼女が付き合う男は器の小さいゲスばかり。
最後に登場する占い師?(ジェラール・ドパルデュー)の言葉が、彼女の自分さがしが永遠に続くだろうことを予感させる。この救いようのなさが悲劇というより喜劇になっている。フランス映画らしいエスプリ・・

「レット・ザ・サンシャイン・イン」というと、ミュージカル「ヘアー」の挿入歌でフィフス・ディメンションが歌った「輝く星座」を思いうかべるが、
フランス語の原題はUn Beau Soleil Intérieur(内なる美しき陽光)

アンスティチュ・フランセ日本主催「カイエ・デュ・シネマ週間」で上映された。東京、横浜でも上映会があるようだ。

カイエ・デュ・シネマ週間とは、毎年アンスティチュ・フランセ日本とフランスの伝統的映画雑誌「カイエ・デュ・シネマ」誌が提携し現在の映画を語るべくよりすぐった作品を紹介しているイベント。
関西の会場は、同志社大学寒梅館や京都シネマなど3箇所あるのだが、たまたまシネ・ヌーヴォで時間帯が都合よかったので観た。

クレール・ドゥニ監督といえば、ヴィム・ヴェンダース『パリ、テキサス』(Paris, Texas, 1984)やジム・ジャームッシュ『ダウン・バイ・ロー』(Down by Low, 1986)で助監督を務めたのち、1988年に『ショコラ』(Chocolat)で監督デビュー、その後は『パリ、18区、夜』(J’ai pas someil, 1994)や『ネネットとボニ』(Nenette et Boni, 1996)、『美しき仕事』(Beau Travail, 1999)といった数多くの作品を生み出してきたことで知られている。

主演のジュリエット・ビノシュはもちろんのこと、なにげにフランスの大女優や男優が出ているのにおどろく。
最後のほうに、ヒロイン・イザベルが恋愛相談に訪れる占い師(?)役でジェラール・ド・パルデューが登場し、彼女の出会う男性たちについて分析する。 「えー?ここで終わるのー?」って驚いている間にFIN。
冒頭いきなり中年男女の(見慣れた、でも決して美しくない)セックスシーンから始まるこの映画は終わりかたも独特。
垂れた胸をはだけたジュリエット・ビノシュ。「太ってないけど老けたなぁ〜ほんとにあのジュリエットビノシュ?」って思ってずっと見ていた。

ラブ・コメディといわれている作品だが、ドゥニはこれを”悲喜劇”と呼んでいる。
彼女の言葉を引用すると「私は、観客の方々が粗っぽいコメディを懸念しているのではないかと心配していました。しかしおそらく、コメディとは悲喜劇なのです。ここでは、愛を求め、ことごとく試みに失敗するのに、常に信じきって新たな方向へと進んでいく人の話で……私は、ここに今日理解されているようなものではない喜劇の形があると思っています。おそらくそれは、かつてイタリア笑劇と呼んでいたものに近いのです。ですから、喜劇というよりはむしろ、悲喜劇なのです」


悲喜劇ねぇ。
佐藤愛子の小説を読んでいても男女の恋愛や人生ってほとんど喜劇じゃん、って思う。
彼女自身「70超えれば人生はすべて喜劇になる」とも言っていた。


さて、自分さがしの旅が好きな女子が大好きなものが、運命という言葉。そして占い。
占いというキーワードでもう少し書いてみたい。

長年MCをつとめた有働由美子とイノッチが卒業して4月から博多華丸の司会になったNHKあさイチで、先日占いについての特集があった。女子が好きなものといえばかならず上がる占いの世界。占星術からタロット占い、手相、四柱推命など占いのジャンルは幅広いけど、運命を分析してくれる占いが嫌いな女性はいないと思う。「よいことは信じるけど悪いお告げは信じない」という人はいるものの占ってあげるといわれて興味を示さない女性もいない。

NHKで先日放映された「プロフェッショナル仕事の流儀」もまた面白かった。

http://www.nhk.or.jp/professional/2018/0423/index.html

NHKプロフェッショナル4/23放送
書店店主 岩田徹  「運命の1冊、あなたのもとへ」

北海道で小さな町の本屋を営む岩田徹(66)。岩田が注目を集めるきっかけとなったのが、11年前から独自で展開しているサービス「1万円選書」。1万円の予算で岩田が客1人1人にあった本を選び出すというものだ。全国各地から注文が殺到、3,000人待ちという盛況ぶり。
岩田のもとには日々、選書した本によって「人生を救われた」、「運命を変えてくれた」といった感激の声が寄せられる。なぜ岩田は客の人生に寄り添う「運命の1冊」を選び抜くことができるのか。その目利きの秘密と本屋に人生を捧げた男の流儀に迫る。
バブル崩壊や出版不況など、幾度も廃業の危機に陥りながらも闘い続けた壮絶な過去。
40年間探し続けた「町の本屋の役割」、そしてドン底のなか偶然生まれた1万円選書の誕生秘話を明かす。

この放送をみていて、岩田氏のやってることって占い師みたいなことだなぁと思った。

1万円選書を依頼するのに、依頼者はカルテを記入する。カルテを記入することで自分の半生を振り返る。自分の価値観やどう生きたいか自分で整理できる。そして選んでもらった本を読むことで自分の進む道が見えてくる。彼はカウンセラーでも宗教の指導者でもない。あくまで自分の人生を決めるのは自分。

彼のやってることっていわゆる他人の運命を分析しその人の生き方に寄り添ってヒントを与える仕事。つまり占い師とスタンスが似ているなぁと思ったのだ。

 
いかなる人も自分の中に「Un Beau Soleil Intérieur(内なる美しき太陽)」を持っている。そして自ら輝くことができるのだ。そのきっかけを作ってくれるのが占い師であったり本であったりするのだろう。



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