「あなそれ」と竹内まりや

TBS「あなたのことはそれほど」　http://www.tbs.co.jp/anasore/
　　　　　　＊6月20日（火）放送終了

9話までの見逃し再生回数が「逃げ恥」に続き100万回を超えた、ヒット作「あなたのことはそれほど」。主要人物全員が空虚なドロドロを繰り広げる、いわば“トロトロ不倫ドラマ”。いくえみ稜の傑作漫画を下敷きに、テレビらしくドラマチックに仕上げた物語から見えたのは、「不倫を批判する人ほど不倫する人を羨んでいる」「結婚に期待をする人ほど、結婚と恋愛は別と割り切る」という、“正しい人”が内包するどうしようもない自己矛盾だった・・
　　　　　　　　　　　　　　　福田フクスケ(フリーライター)

私はこのドラマを第一話と最終話の一部しか見ていない。内容が内容だけに家族と一緒には見たくなかった。
第一話を見たとき、自分が結婚相手を選んだ動機とその相手のタイプまでこのドラマとそっくりなのに驚愕し、しかも結婚後（まだ新婚なのに）初恋の相手と再会するやいなやホテルに直行という主人公・美都の行動に衝撃をうけ…第二話以降を見るのに辟易してしまった。
だから第二話以降は見ていない。
しかし実はこのドラマにはとても興味があり、あとでまとめてネットでみようかなと思っていた。

それでこのドラマのことを検索していたら、こんな記事を見つけた。
「私たちはなぜ不倫を許せないのか―『あなたのことはそれほど』は不倫ドラマを楽しむ視聴者をメタ批判する」
http://www.elle.co.jp/culture/feature/fukusuke_anasore170620

ファッション誌のコラムとして書かれたらしく、実際のドラマの1シーンの画像つきで「あなそれ」のストーリーを解説してくれていて、ドラマを見ていない人でもこのドラマのテーマを堪能できる。
著者は、人はなぜ不倫を許せないのか―『あなそれ』を見る視聴者の心理を通して以下のように分析している。


1. “誠実で正しい”人を好きになるとは限らない恋愛の不条理
2. 正しい綺麗事を“息苦しい”と感じてしまう私たち
3. “正しさ”は、正しく生きられない弱い人たちを追いつめる
4. 不倫バッシングは、“正しさ”からの抜け駆けを許さない同調圧力


記事を読んでいるうちに、竹内まりやの「哀しい恋人」という曲のあるフレーズが頭に浮かんだ。

　　　　正しく生きるなんてできないわ
　　　　　　　　正直に生きるのも苦しくて・・♪　

この曲はいわゆる出口のない不倫を歌った曲だが、これが「あなそれ」の世界観に妙にハマッて、私の中でヘビーローテーションとなっている。

私たちは不倫がいけないことを知っている。が、恋する気持ちに歯止めがきかずときに暴走してしまう事も知っている。
人間には理性と本能があり、常にそのせめぎあいの中で生きているのだから。

正しく生きることは理想だがしんどくて、正直に生きるとラクだけど人を傷つける。人間は本音とタテマエの間で、もがきながら生きているのだから。


第一話しか見てないが、第一話で主人公の美都が、初恋の彼に偶然出逢って（自分は既婚者なのに）これは運命でこの気持ちはもう止められないと思ってしまうシーン。

そのとき頭の中で流れているのはやはり竹内まりやのこの曲か・・（笑）


　恋の嵐　　　　　竹内まりや

ふと触れた指先に心が揺れる夜は 秘め続けた思いさえも隠せなくなる
友だちでいたいけど動き出したハートは もうこのまま止められない罪のはじまり
Dance dance dance
頬を寄せて　強く抱いて　ステップ踏むの
Chance chance chance
まだ今なら帰る場所を選べるわ
Never stop till you say you love me
Dance dance dance
Never stop till you say you love me so


恋ははじまりが最も盛り上がる。はじまりのときに、あとあとのこと（恋の終り）を考えて行動する人はあまりいない。いるとしたらそれは恋じゃないし、あとあとのことを考えていたらそもそも恋などできない。

そして・・

恋の嵐のあといろいろあって、正しく生きようと苦しむ人のあとあとはこうなる。
↓　　↓　　↓





　哀しい恋人　　　　　　　　竹内まりや

今夜限りでもう二人は逢えなくなるとわかっていた
好きになるほど大切なもの失くす予感におびえたから
こうして密かな闇にまぎれて孤独を分け合った月日
どんなに強く抱きしめられてもあなたのものになれない私
答えのない問いに疲れたわ
心縛るリボンはずしましょう
ゴールのないゲームの駒に似た二人は哀しい恋人

これから何も手につかなくてふとしたことに涙ぐむでしょう
時はすべてを奪い去ってもぬくもりだけは胸に残るの
こうして夜明けの家路急げば背負いきれぬ罪に揺れる
どんなに深く愛し合ってても　私のものじゃなかったあなた
正しく生きるなんてできないわ
正直に生きるのも苦しくて
短いメールさえも途絶えてく　二人は哀しい恋人

生まれ変わっても　めぐり逢いたいわ
今度は本当の恋人として
思い出だけが今を支えてる　二人は哀しい恋人
二人は哀しい恋人