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2017年07月05日10:52

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個人主義的成功の幸福と「他者からの承認」で得られる幸福

人気の脳科学者中野信子氏の対談記事が興味深かった。

トークイベント「寛容と不寛容の間ー仏教の智慧を科学する」
仏教者の向源代表・友光雅臣氏×脳科学者・中野信子氏より。
http://logmi.jp/215996

<以下要旨抜粋>
*幸福度調査は、欧米基準からされるが、日本の幸福度は違う。
 欧米での幸福度とは、「自分のアチーブメントです。社会的成功や、金銭的にどれだけの収入があるのか、自分がどれだけのものを勝ち得たか。」にあり、個人主義的なもの。その基準と、日本の幸福度の感覚は違うという。日本人の幸福度は、「他者からの承認」に依存する。

「むしろ、欧米の基準で幸福な状態になると、日本人は足を引っ張られるのではないかと不安になったりするようです。」「なにか後ろめたい感覚ですよね。」「儲けたはいいけど、自分が死んだときに心から泣いてくれる人は誰もいないのではないか」「葬式に友人は誰も来てくれないのではないか」とか。

では一番大事なのはなんなのか。それは、「周りの人にどれだけ必要とされているか」です。他者にどれだけ必要とされているか、という感覚がその人の幸福度を左右する大きな要因だったということがわかりました。

つまり他者との関係性が、幸福度に大きく左右するというわけだ。なんとなく納得できる。

そして、南国へ行くほど、よそ者に冷たく、仲間の絆が強いということ。同じ一つのコミュニティへの信頼が深い。沖縄などの文化を例に挙げている。

さらに稲作文化圏と小麦文化圏と違いの指摘もある。
*稲作地域の人の方が関係依存度が高い
 「自分の意見よりもみんなの意見を優先しましょうという性質」
 「米を作るほうが水路を作ったり、農作業のステップが多く、みんなでやらなきゃいけない集団でやる行動が多くなるために、それに外れた人は、食い物も余分にもらえない、嫁も与えられないなど、遺伝子を残しにくくなっていく。そうすると、集団に対して協力的な人の遺伝子だけがどんどん濃縮されていきます。その結果、稲作地域では関係依存的な性質の人が増えていく。そういう考え方です。」

個人主義的な人間が排除されてしまう稲作文化。小麦の方が稲作と比べれば、共同でする作業手順が少ないということか?これについては、それだけなのか?小麦だって集団で作業するだろう?とも思うし、そんなに単純なもの?とも思うが、アジアの稲作地域と欧米の小麦地域になんらかの文化的違いはあるような気がする。稲作の方が水などの自然環境に依存しているような気もする。小麦の方が環境耐性が強く、自然をコントロールする意味合いが強いというか。

*生きていく環境が厳しい地域ほど、厳しい宗教が多い。
 宗教の役割とは、厳しい環境からコミュニティを形成して集団で生き延びていくこと。厳しいルールや神との契約。砂漠とか厳しい環境の中から宗教は生まれる。自然や食べ物が豊かな土地では、宗教もゆるい。

しかし、次第に都市部ではなんとか食べものも得られるようになって、厳しい宗教は必要なくなってきた。それが都市部で起きている宗教離れ。そういう時代の中にあって、一人一人の生き方についての仏教が何ができるかを考えていきたい・・・というのが対談の要旨。

欧米型個人主義と日本的関係重視社会。どちらがいいとか悪いとかではないし、日本にも個人主義的な人々も増えているので、単純ではないが、「他者からの承認欲求」がとても強いことは、日本的社会の大きな特徴なのだと思う。
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