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2016年10月26日03:05

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『ラディッシュ』

 ヤマなしオチなし意味なしの閑話休題的な話です。カノンがアケローオス兄ちゃんにお尻にラディッシュを突っ込まれるだけの話です。
 古代ギリシャではジェンダー意識が強かったので、同性愛の相手に「そろそろおれの子供を妊娠するんじゃね?」と冗談を言ったばかりに刺し殺された男がいます。「ラディッシュ突っ込み刑」とか色々楽しすぎるだろ、古代ギリシャ。
 参照作品は『例えばこんな愛の形』http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=5409535『執着と愛の境界線』http://mixi.jp/view_diary.pl?owner_id=4632969&id=1944928878『常識についての一考察』http://mixi.jp/view_diary.pl?owner_id=4632969&id=1946155592『時には愛の言葉を』http://mixi.jp/view_diary.pl?owner_id=4632969&id=1946428955『いい双子の日』http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=6082772『双子の日』http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=6146829『寝室のドレスコード』http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1950098945&owner_id=4632969『春蘭と秋菊の競艶』http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1950727023&owner_id=4632969。(pixivはR-18作品)
 アケローオスについては『ハルモニアの首飾り』http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=3513947『ドナウの白波 黄金の酒』http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=4939909『セクアナの泉』http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=4970379を参照。


『ラディッシュ』

 いつものようにカノンがアケローオスの館に押しかけて、飯と酒をたかって「おれを構え!」と河神に甘えまくっていた時のことである。
 「はいはい、構ってやるから、構ってやるから」ともはや当然のようにカノンとの情事になだれ込んで、事後のピロートークに移っていたアケローオスにカノンが言った。
「なぁ、アケローオス。あんた、変身が得意だけどさ…」
「うん?」
 アケローオスの胸の上でごろごろと彼にすり寄りながらカノンが尋ねた。
「女にも化けられるんだよな?」
「…まぁ、なれることはなれるが、それがどうかしたか?」
「だったらさ」
 身を起こしたカノンが河神の顔をのぞき込みながら言った。
「女に化けて、おれに抱かれてみないか?」
「………」
 目をぱちくりとさせた河神に楽しそうにカノンが話す。
「おれを抱くばっかりじゃ飽きるだろ?たまには立場を入れ替えてみようぜ。おれ、女になったあんたを楽しませてやる自信があるけどなぁ」
「………」
 黙り込んだアケローオスは体を起こし、自分の上に乗っかっていたカノンの体を横にどかせた。
「ん?どうした、アケローオス?」
「確かここに…」
 寝台の端に移動した河神はサイドテーブルの上を探った。
「ああ、あった」
 彼が手に取ったのは、角型のペンダントがついた銀のネックレスだった。アケローオスの神具である「豊穣の角」だ。望むだけの果実や花や神酒を出すというこの神具を、彼は普段は小型化して銀のチェーンをつけて首にかけているのである。
 アケローオスが「豊穣の角」を本来の大きさに戻す。三十センチほどの大きさになった角杯を河神が振ると、中から濃いピンク色の塊根に緑色の茎と葉がついたラディッシュが一つ、転がり出てきた。
「あ、なに?ラディッシュ?」
「これをアンブロシアにつけてだな…」
 ラディッシュを手に取って茎をむしり取ると、アケローオスは球形の塊根を香油状のアンブロシアにつけた。いつもカノンとの情事の際に潤滑油として使っているものだ。
 そして。
「…うわぁ!」
 カノンが声を上げた。アケローオスがいきなりカノンをうつぶせに倒すと背後から押さえ込んだのだ。じたばたとカノンが手足を動かしていると、彼の尻の穴に固く冷たい物が触れた。

(以下はR-18なので割愛)

「うう…ううう…」
 泣いていたカノンは、手近にあった枕を手に取るとアケローオスに叩き付けた。
「馬鹿、馬鹿、馬鹿!変態!」
「…おい、カノン」
「変態!変態!変態!」
 ぽかぽかと枕で河神を殴りながら、わんわんとカノンは大泣きした。
「…そんなに嫌だったか?」
「さ、産卵プレイとか…!あんたって本当に変態だーっ!」
「カノン…」
「嫌いだ!嫌いだ!あんたなんて大嫌いだーっ!」
 うわーんと幼児のように人目もはばからず泣きわめいているカノンに、アケローオスは最初は呆れ、それから苦笑した。
「…ああ、すまなかった、カノン。悪ふざけが過ぎた」
「も、もうあんたとなんかやらないんだからーっ!」
「悪かった、悪かった。ほら、もう泣くな」
 泣くカノンを抱き寄せ、アケローオスは頬や額にキスを繰り返して彼を子供のようにあやした。
「うう…」
 ぐすっとカノンが鼻水をすする。
「…もう二度とするなよ、こんなこと」
「しない、しない」
 よしよし、と背を撫でてやり、「約束だ」とアケローオスはカノンの唇に軽くキスした。
 いつまでたっても反応が手のかかる子供のようだ、と河神は心の中で苦笑したが、それがカノンの可愛いところなので仕方ない。
「ほら、おいで」
 カノンを抱き寄せたまま横たわり、彼の体を軽く優しく愛撫してやる。カノンのほうもアケローオスにキスを返し、その愛撫に答えた。
「…それで、これからはどうするんだ、カノン?」
「どうって?」
「もうおれとはやらないんだろう?」
 その問いにカノンはつんと唇をとがらせた。
「あんたってやっぱり意地悪…」
「なんだ、するのか?」
「してくれなきゃだめだ。ちゃんとおれの相手をしろ」
 河神の首筋に抱き付いたカノンが甘えた声で耳元にささやく。
「…あんな野菜じゃなくて、今度はあんたのを挿れて…」
「色々と要求の多い奴だ」
 笑いながら、それでもアケローオスはカノンのわがままに応じるのだった。

<FIN>

完全版はこちら。pixiv掲載でR-18
http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=7377633

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