独立し、大道芸を始めてしばらく経った頃、
あるホールからの依頼で舞台公演を行った。
私たちの大道芸を見てファンになった人がその公演を見て、
感想を述べたそのひと言は
「観客が観客を演じている」
ある公文協関係者が集まった席で人形を遣った時のこと、
舞台から見て観客がもの凄く固くなっているのがわかった。
どうやっても柔らかくならない。
人形に興味が無いこともあるかもしれないが、
それより周りの反応を気にし過ぎてのことと思えた。
会館や劇場を運営している人が、そんな見方をしていてどうするんだ!
私はついその後のシンポジウムで叱ってしまった。
いつも不思議に思うのが、開演前の禁止事項の羅列。
話すな、食べるな、電話は電源を切れ、撮影禁止、
挙句は「舞台に近寄らないように」
ここはストリップ小屋じゃない・・・・
私は、この禁止事項の羅列も観客を固くする原因の一つだと思う。
だから私どもが主催の公演で禁止事項を言ったことはないし、
それで携帯電話が鳴ったことは、今のところ、ない。
子ども劇場などでは主催者の慣例を尊重するけれども、
「私たちは何でも有りですよ」と伝えることにしている。
海外で公演すると、劇場が市民権を得ているのがよくわかる。
それに引き換え・・・と思った時
これはもしかしたら文明開化の副作用なのではないかと気付いた。
芝居が演劇になり、芝居小屋が劇場になり、
西洋の人々に恥じぬようにと、それまでの慣習を諌めた。
まだ地方に歌舞伎や人形芝居、神楽などが残っているところは
見方が柔らかいが、
過疎化によって、それも覚束なくなってきた。
そして当たり前のような禁止事項の羅列
劇場から足が遠のくのも納得してしまう。
なんとかしなければ。
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