悲しいときは足下をみよう
先日の日記のように、自分は中学生のころの小期間、
家出して山小屋にとじこもっていましたが、
正直毎日の生活自体は楽とはいえませんでした。
生活に必要な水などはバケツに汲み取らないといけませんし、
日夜襲い来る蚊との戦いは熾烈なものでした。
特にヤブ蚊に刺されるとそのかゆみは尋常なものではありません。
もともとアレルギー肌質をもっている私は、いちど蚊にさされると、その部分だけ真っ赤にうきあがり、ひどいときにはケロイド状態になるのです。
自分は中学生なりに蚊対策にいったい何が効果があるのか試しました。
蚊取り線香などは家出中の身でもあり、高いので手が出ません。
さいしょにとった方法は体中にタマネギの汁をぬるということ。
これはまったく効果がなく、かえって自分の身体からの悪臭でどうしようもならなくなって、閉口しました。
当然中止
二度目に試したのが虫たちをいぶす方法。
毎晩食事のため薪に火をくべるのですが、燃え残った澳に生木をいれておくのです。
微妙に煙が山小屋に向くようにしました。
これは効果がありました。
ただこれを試していくうちにわかったことですが、効果はくべる生木の種類にもよることがわかりました。
くべて効果があったのはヨモギの葉、杉、そして檜の木片でした。
檜はとくに効果が高く、町の木工場にいくと、そのチップなどを拾い集めたものです。
そうやって山の生活が2週間をすぎるころには、なんとかその生活に慣れるようにはなってきました。
毎日の生活の中で楽しかったのは読書と虫の観察でした。
特に自分は虫を見ているとあきません。用事がなければ数時間だってみていられるのです。
それほど虫が好き。
必死で生きて 一夏を終えた頃には、だまって死んでいく。
これほど健気な生き物もいません。
虫たちの生活は示唆に富んでもいます。
みなのきらわれものであるゴキブリやハエも観察してみれば面白い虫なのです。
今回はすこしムカデの話をしようと思います。
みなさん、ムカデは好きでしょうか。好きな人などいないと思います。
でもムカデほど興味深い生き物はいないんですよ。
自分はいつかムカデをしらべて感動した話があります。
ムカデの足がありますね。あれば見た目は気持ち悪いですが、でも機械工学的にはあれほど機能的なデザインはないんです。
どんな隙間でもはいれる。どんな獲物も捕らえられる。必要とあれば泳ぐことさえできる。
あれほど多機能な生き物はいないんですよ。
でもそんな足にも一対だけいつも役に立たない足があるのをご存じでしょうか。
その足は普段まったく役にたちません。
それどころか生活の邪魔になるぐらいです。
しかしその足は意外なところで役に立ちます。
袋小路にはいったときなど、進退ままならなくなったとき、その足は魂がそこだけに集中したかのように動き、ムカデを後退させ、その窮地を救うのだそうです。
自分はこの話をきいたときに、人間それぞれもムカデの足のようだと思わず笑ってしましました。
こんな話をはじめ、足下の小さい生き物たちには興味深いことがらがたくさんあり、みていてあきません。
自分は幼い頃、辛いときなどはよくこういう虫たちを眺めて気晴らしをしていました。
人間社会でくらしていると、辛いことや悲しいことがたくさんありますが
自然の中虫たちを見ているといつも元気をわけてもらえるので、自分は今でも彼らが大好きです。
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