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2009年11月29日10:09

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小説八大龍王 【036 モクルラビリンス(八) 〜援軍来たる〜】

いつもお読みいただいている皆さま、ありがとうございます

モクルラビリンス編も今回で完結し、次回から新たな局面に入っていきます お楽しみに^^

それでは小説八大龍王をはじめます


【036 モクルラビリンス(八) 〜援軍来たる〜】


〔参考一 用語集〕
ハクビ(眉と髪が真っ白な記憶喪失の青年)

ヴォウガー(バルナート帝國四神兵団の一つ玄武兵団の軍団長)

ドンク(ハクビの小隊に所属する青年)

マーク(コムクリ村の住人 ハクビの小隊に所属)

ソルトルムンク聖王国(大陸中央部から南西に広がる超大国 第八龍王ウバツラの建国した國)

バルナート帝國(北の強国 第七龍王マナシの建国した國 金の産地)

フルーメス王国(南の弱小国であり島国 第二龍王バツナンダの建国した國)

ツイン城・ツイン盆地(ソルトルムンク聖王国の最南端の城とその城が建っている盆地)

モクルラビリンス(モクル海岸とツイン盆地を結ぶ地下の大迷宮 千の通路と二千の出入り口、三千の罠がある)


〔参考二 大陸全図〕
フォト



〔本編〕
さてハクビは、モクルラビリンス内の一つの拠点にたどり着き、マーク達小隊の九人と合流する

「申し訳ありませんでした!許してください」ドンクは泣きながらハクビに許しを請う

ハクビ曰く「いや、許すわけにはいかない 本来であれば命令違反は死罪となる!死罪に相当する罰として兵種の変更(チェンジ)を申し渡す」

「兵種の変更(チェンジ)ですか?」ドンクが尋ねる

今のドンクの兵種はファイターであった

ファイターは第二段階(セカンドランク)の剣を操る歩兵で、俊敏性と技量に優れている

「ファイターからシーフへの兵種の変更(チェンジ)だ!」

シーフとはやはり第二段階(セカンドランク)の兵だが、剣技より諜報技術に重点を置いている兵である

シーフは別名盗賊とも呼ばれている

そのシーフは裏でこそこそ活動するという印象が強く、率先してなろうとする者がほとんどなく、また蔑(さげす)まされてもいた

ドンクはがっかりして「それは死罪よりひどい!」と言った

しかし、ハクビは諭す「どんな軍でも諜報活動は欠かせない シーフ系の兵を持っていない軍は勝てないと言われているぐらいだ

ドンク!お前の才覚や勇気を是非諜報の場で活用してもらいたい 私の聖王国軍での階級が上がれば聖王国の直属の諜報兵を持てるようになるだろう

しかし、それらの諜報兵は私の部下であると同時に、その諜報の方針や内容を本国の王にも伝える聖王国の公兵である 私は自分独自の方針で動いてもらえる私事(わたくしごと)の諜報兵が欲しいのだ!あまりうまくは言えないのだが」と…

ドンクはこの言葉にシーフへの変更(チェンジ)を承諾した

自分のような者を危険を顧みず救ってくれたハクビに一生仕えていこうと決心したのであった

さて三日後の龍王暦一〇五〇年九月二日、ヴォウガー軍団長の元に五十人の補充兵と大量の補給物資が届いた

今、ヴォウガーの兵は軽傷兵も含めると三百五十人である

このころになるとツイン盆地は完全に調査され、モクルラビリンスも大方破壊されていた

ハクビもその間に、ツイン城との連絡を試みようとするが、ツイン城を帝國兵はネズミ一匹も通さぬ布陣で囲んでおり、それはかなわなかった

九月三日、ツイン城からの一人の兵がヴォウガーの下に逃亡してきた

ヴォウガーはその逃亡兵に尋ねる「城の中の様子はどうだ?」

その兵は答える「食料は底を尽きかけています 私はもう三日も水しか口にしていません」

ヴォウガーはその兵の顔色などを見て、それが真実と確信した

《よし明日は全軍にツイン城の攻撃命令を出そう》と考えていたヴォウガーであった

その時である

ツイン海岸沿いの警備に当たっていた兵から緊急の報告がもたらされた

その警備に当たっていた兵曰く「ツイン海岸の沖合に四艘の船団が見え、船に旗が立っています その旗を確認しましたところ、一つの船に二旗ずつ計八旗です

一種類の四旗は白地に金の十文字と三日月の旗、ソルトルムンク聖王国の旗と見受けられます もう一種類の四旗は青地に帆船を象(かたど)った旗、フルーメス王国の旗と思われます」

ヴォウガー唸る「聖王国軍の援軍だと…そうか!小僧(ハクビ)はこのための時間稼ぎだったのか!!」

「聖王国軍の援軍ですか!船から下りるところを迎え撃ちましょうか?軍団長!」帝國兵の一人がヴォウガーに尋ねる

ヴォウガー軍団長が答える「いや!ハクビの隊やツイン城を背に迎え撃つのは愚策だ!挟撃される危険性がある」

続いて別の帝國兵が意見する「フルーメス王国が船を貸したのは旗から見て明白です 中立の立場をとりながら、これは明らかなソルトルムンク聖王国への戦争協力です」

確かに南の弱小国で島国であるフルーメス王国は、今回のソルトルムンク聖王国とバルナート帝國との戦いでは中立を表明していた

続けて別の兵が言う「そうだ!フルーメス王国の兵に、戦争協力行為の非を問い、中立を維持するならソルトルムンク聖王国の兵を海岸線に上陸させないように言い渡そう」と…



〔参考三 あらすじ〕
龍王暦〇〇〇一年 八大龍王によって八つの國(くに)が建国される

龍王暦一〇四九年八月 ソルトルムンク聖王国にあるクルス山でハクビが発見される ハクビは記憶喪失

龍王暦一〇五〇年二月一五日 ソルトルムンク聖王国のコリムーニ老聖王とバルナート帝國のロードハルト帝王がバクラにて会談 その席上、コリムーニ老聖王急死 死因は不明

龍王暦一〇五〇年二月一八日 ソルトルムンク聖王国、バルナート帝國に対して宣戦布告

龍王暦一〇五〇年三月一〜三日 ソルトルムンク聖王国とバルナート帝國が国境の町バクラで交戦、ソルトルムンク聖王国側大敗(この戦いは「バクラの戦い」と呼ばれる)

龍王暦一〇五〇年三月一〇日 ソルトルムンク聖王国の王城マルシャース・グール陥落 聖王国滅亡 コリムーニ老聖王の孫、ジュルリフォン聖王子は大陸の最南端ツイン城に逃げ込む

龍王暦一〇五〇年五月三日 コムクリ村にバルナート帝國軍が襲撃、ハクビ、マーク、レナは力を合わせて帝國兵士二人を倒す 続いて、ハクビがバルゴー隊長を倒す 以後、グラフ将軍に助けられ、残党軍の拠点であるアユルヌ渓谷に到着する 

龍王暦一〇五〇年五月〜八月半ば ハクビ、マーク、レナ達はアユルヌ渓谷で軍事訓練や、近くの村々での山賊等の退治、帝國軍との戦闘を行う 日々、兵として成長していく

龍王暦一〇五〇年八月初頭 バルナート帝國とミケルクスド國連合軍がジュリス王国を滅ぼす

龍王暦一〇五〇年八月二〇日 ハクビを始めとする十人がジクリー山のガーンの砦に潜入 一方、帝國軍によりマルドス城陥落

龍王暦一〇五〇年八月二三〜二四日 グラフ将軍の軍がガーンの砦を襲撃 ハクビが山賊王ガーンを倒し、後海賊王ゴーンを追う 海賊王ゴーン以下海賊、山賊は全員、白虎騎士団に首をはねられる ハクビは白虎騎士団軍団長ライアスの初めての会い、コムクリ村襲撃の謝罪を受ける

龍王暦一〇五〇年八月二七日 グラフ将軍の軍、モクル海岸に到着する

龍王暦一〇五〇年八月二八日 ハクビ小隊は、モクルラビリンスを伝ってツイン盆地にたどり着く

龍王暦一〇五〇年八月二九日 ハクビ小隊、ヴォウガー軍に対して夜襲を決行 ヴォウガーの采配により失敗 昼の十二時からヴォウガー軍がツイン城を攻撃するが、モクルラビリンスの罠によりヴォウガー軍撤退

龍王暦一〇五〇年八月二九〜三〇日 ハクビ小隊のドンク、命令違反を犯しヴォウガー軍に捕らわれる ハクビ一人で救出に向かい、ドンクの救出に成功 ハクビもヴォウガーから脱出する

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