雲としよりはここをまほらだといった丘のうえに佇みそしてそう云ったきり何もいわないのだったつめたい哀しみを抱えたまま私はとしよりと雲をみていた。指田悠志
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凧ほそい糸が蒼空につながり蒼空からつながっている凧は蒼空のいろを吸いどんどんかるくなってゆく。指田悠志
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寒月こんなに老いてしまっている松よ寒かろおもてに紫蘇の匂いがするこんな夜ふけ月はどこに出ている私は珈琲の薫りのむこうにおまえの夜をおもうのだ松よ。指田悠志
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木の葉言葉はむつかしい云うに言えない感情を言いあらわすために見つけようとする言葉を雲にかくれた月の所在をさがすようにぼくは今宵も珈琲を飲みながら脳裡を過る言葉を想いの切れはしを頼りにして探すのだ苦しいがしあわせな作業だ理由すらもわからない倖
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