3. 剛太郎はいつから逃げようと思いはじめていたのか。それは或は剛太郎自身にもわからぬことかもしれぬ。少くとも御近習頭の鈴木主税の腹心として、恭順派の藩老鈴木鼎を藩論決定の重役会議の直前に斬った時や、主税をそそのかして仙人沼峠の土橋の曲り
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落人 「黒菅」シリーズ第九篇 現代仮名版 1. 雪は降ってはやみ、やんではまた降りつづけた。重くるしい薄墨いろの雪雲がどんよりと低くたれこめた野面を、時々思い出したように巡邏の西国兵が見廻ってあるいた。慣れぬ積雪にとじこめられて満ち足りぬ無
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