富士とくに することもなく家におった風が鳴っている障子をあけたら 朝日が眩しすぎて富士山が見えなかった。指田悠志
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何もしなかったそのひとは ぼくのことをたそがれのひと と云ったぼくはそれを肯定も否定もしなかったあるときぼくは河川敷に行き何もしなかった足あと一つ 遺してそのひとは 水に入っていったぼくはそれを肯定も否定もしなかったそれからぼくは河川敷に行
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月猫竹藪に月のひかりが射しているかわいそうにこの子は迷子なのだねぽつねんと 途方に暮れては啼き暮れては啼いているうちに久しく鳴っていなかった つよい西風がおもむろにがざわ ぞわら と鳴りだした竹藪は 風にあいされ竹藪は 月に焦がれている途方
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