mixiユーザー(id:6007866)

2007年12月25日14:35

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トム・クルーズは「ダメパパ」か!?

 開時、マイミクのvoodoo65さんから「絶対、劇場で観るべきだ」と強く薦められていたにも関わらず、仕事が忙しくて見逃したままになっていた『宇宙戦争』をようやくDVDで観ることができた。公開後2年を経過した今になって観る気になったのは、なんと新古品のDVD(Special Editon)2枚組が400円で売っていたのである。さすがに、この価格まで下落するタイトルは少ないので、よほど大量生産してしまったのか、評価が低い駄作であるか、どちらかであると考えられた。いずれに転んでも、この価格なら惜しくない。ただちに購入して、観て、前者であることがはっきりした。SFXが秀逸かつ強烈で、これは劇場の大スクリーン、大音響で観なければならない作品だったことを、今さらながら後悔した。主要登場人物の紹介にほとんど時間をかけず、一気に「事件」に巻き込まれていく冒頭から、問答無用で人々を殺し、街を破壊しはじめた三本脚の攻撃兵器(トライポッド)から逃げ回る前半のスピード感、緊張感は見事である。

 あまりに面白いので、世の人々はこの作品にいかなる評価をしているのか、ネット上のブログや映画評を読んで、その意外な事実に驚いてしまった。ほとんどの観客が「つまらない」「コケおどし」「泰山鳴動してネズミ一匹、それだけの映画である」と酷評し、しかも、不思議なことに「トム・クルーズのダメパパぶり・・・」に言及するにいたっては、半ば呆れた論調である点で共通している。ただし、トム・クルーズ演じる「港湾労働者レイ」の、どこがどう「ダメ」なのかには誰も具体的に語っていない。これは、なんとも不自然である。まるで、どこかに映画批評に「正解」となるガイドラインがあって、それに倣って批評したかのような印象を受ける。

フォト


 事件が起きる直前に、離婚した妻と新しい夫から、週末を一緒に過ごすために長男ロビー(高校生)と長女レイチェル(10歳前後)を預かったレイの一人住まいの冷蔵庫にはまともな食料がない。娘のレイチェルが「生まれつきのピーナッツバターアレルギーである」ことさえ知らない。ロビーが彼に反抗的な態度をとることで、レイのいい加減な生活態度が離婚の原因だったと読み取ることも可能ではある。しかし、同時に彼は職場では凄腕のクレーンオペレーターで、街の自動車修理業者が彼に判断を仰ぐほどの優秀なエンジニアだ。事件の発端となった落雷現場にかけつける時には、街の多くの人々が彼に声をかけていることから、家庭人としては失格だったかも知れないが、職業人として、街の仲間としては人気が高く、人望があるのは間違いない。

 生き延びることができるかどうかわからないような大事件に巻き込まれ、レイが呆然としたり、あわてたりすることは自然であり、一介の市民に過ぎない彼が宇宙からの侵略者に勇敢に立ち向かうことを観客が期待しているとすれば、そちらの方がよほど嘘臭いと思う。劇中のレイは息子と娘の命を助け、無事に別れた妻の実家を目指すために、強運に支えられ、正に奮闘している。それがなぜ「ダメパパ」としか評価されないのか、私には理解できない。その時々の判断と行動は、見事だった。もし、レイが「ダメパパ」なのならば、レイに預けた子供達を救いにも来ないで、自分たちは家を捨て、遠い実家に避難してしまった妻と新しい夫の行動をなんと呼べば良いのか!? 映画を観て、どう評価しようが個人の自由だし、どこかの評論家の文章や解釈を借用することも良いが、もう少し考えて、せめて「自分の言葉」で表現したいものだと思う。
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