『 ドント・ブリーズ 』

劇場で予告編を観て、気になっていたのだが、結局、仕事が忙しくて見逃した『 ドント・ブリーズ 』をネット配信で観た。恵まれない家庭に育った少女ロッキーは幼い妹を連れ、憧れのカリフォルニアへ脱出することを夢見て、その資金作りのため、仲間達と空き巣を繰り返していた。ある日、街はずれに独りで住む老人が大金を隠しているとの情報を得て、新たなターゲットにする。老人は全盲で、大金を盗むのは容易だと思われたが、彼は派遣されたイラクで手榴弾によって負傷し、視力を失った、退役軍人だった。

　いや、怖い映画だった。劇場で観ていたら、おそらく怖さは１０倍増しだったろう。

　しかし、何度も観たくなる映画ではなかった。予告編では、『 暗くなるまで待って 』の男性版だろうくらいに思っていたのだが、老人には「 大きな秘密 」があった。それに納得ができるか否かによって、この映画の評価は全く違ったものになるだろう。残念ながら、私は「 大きな秘密 」に至る軍人の行動には疑問しかなく、彼の反撃（過剰防衛）に対しても納得できなかった。ここは、盗む側（主人公達）が絶対悪で、盗まれる側（老人）は善良な被害者（＝弱者）とした方がずっと良かったように思う。どちらの側にも共感できない時点で、単なるパニックホラーにしか映らないのがこの作品の惜しいところだ。制作がサム・ライミであることにもっと早く気がついていたら、期待し過ぎなかったのに、とちょっと後悔した。