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ボクが学生時代に初めて北海道を旅した頃から、北海道では札幌と稚内を結ぶ夜行急行「利尻」、釧路を結ぶ「まりも」、網走を結ぶ「大雪」があり、北海道乗り放題のきっぷで宿代ゼロで旅することができた。
宿代わりに乗った「利尻」は、冬は車内は暖房が効き過ぎて暑くてろくに眠れないまま早朝6時に稚内に着いた。
稚内は吹雪で、ホームに降りて改札まで歩く間に雪まみれになり、寝不足で寝ぼけたままいきなり寒風にさらされ、寒さに震えた。
改札口を出ると、左手にある暖かい待合室の一角に立ち食いそば「そば処宗谷」があり、早朝6時だというのに湯気を上げて営業していた。
寒い稚内に降り立ち、たまらず食べたのが稚内駅そば「そば処宗谷」の思い出である。
その後急行「利尻」は特急に格上げされ、2006年からは臨時特急「はなたび利尻」となり、07年9月に廃止されるまで毎年のように朝「利尻」で到着した稚内で駅そばを食べてきた。
おいしい、というわけではなかったのだが、遠い遠い稚内にたどり着いて食べた駅そばは、味なんかどうでもいい、青春時代の旅の思い出の1ページに欠かせないアイテムだった。
ところが、現在建設中の稚内新駅舎の開業が4月3日と発表され、駅そばは新駅舎での営業はせず、現駅舎の供用終了日である4月2日をもって営業を終了することになった。
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思い出の店がまた1つ消える。
何としても最後にもう1度は食べておきたかったので、先週金曜日に札幌へ行く用事ができたついでに土日に稚内へ行ってきた。
土曜の朝札幌を朝の特急で出発して、稚内に12:47に着き、立ち食いそば「そば処宗谷」に立ち寄る。
最後に翌朝にも食べるので、まずは「カレーそば(360円)+かき揚天トッピング(90円)」にした。
「そば処宗谷」でカレーそばは初めて食べたので、これは我が青春の味でも何でもないのだが、数年前に追加された比較的新しいメニューで、1度食べてみたいと思いながら天ぷら系ばかり食べてしまい、これまで食べたことがなかった。
トッピングしたかき揚天は、小えびが1匹だけの安っぽいもので、北海道の立ち食いそば屋ではおなじみの天ぷらである。
かき揚天は固くカチカチで、つゆを吸ってしんなりするまで時間が掛かるが、油のコクが出て風味が増し、カレーそばにも合う。
カレーそばなのに普通のそばと同様になるとも入るんだな。
そして、その日の夜は稚内に泊まり、翌朝も最後に稚内駅そばを食べ納めしてから帰る。
これが最後だから、豪勢にいこう。
「いか天そば(400円)」を大盛りにして(50円増し)、生卵もトッピング(50円追加)した上に、おにぎり(おかか、120円)も付け、620円になった。
大盛り用のでかい丼で食べるのは初めてである。
麺はかなり柔らかい麺でコシはまったくない。
そこにかなり甘めのつゆ。
うん、稚内の駅そばと言えばこの味だ。
あれ、なるとはいつも穴が開いていたっけ?
お店のおばちゃんと昔話をしながら食べたが、ボクが初めて北海道を列車で回ったときから食べていたと思っていたが、開業したのは平成元年からだそうなので、北海道に通い始めた頃はまだなかったんだな。
新駅舎のテナントに入るには、家賃が今の3倍くらいになるそうで、それではやっていけないから新駅舎には移転せず、現駅舎とともに閉店することに決めたのだそうだ。
残念である。
列車の発車時間が近づいてきたので、おにぎりは車内に持って行って食べた。
どう見ても手にぎりのおにぎりは塩加減もちょうど良く、醤油味のおかかも素朴で、心が温まる。
これで最後か…
次回からは稚内ではコンビニか、旅情もへったくれもないな。
22年間寒い稚内で暖かい思い出をありがとう、そしてご苦労さまでした。
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