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2011年01月14日22:23

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【ビザンティンの営み〜アトス自治修道士共和国〜】(21)12月7日(火) ウィーン国立オペラ座『MEDEA』 

 ウィーンで体験していない事をしておきたかった。
 音楽の都なのにオペラを観ていなかった。オペラなら国立オペラ座だと言う訳で立見席に並ぶ。前売りはとっくに売り切れている。演目は『MEDEA』、ギリシャ悲劇なので、時代は違うが今回旅行した辺りの話である。

 立ち見は人気なのでまだあるかと心配したが、結構前の方であった。
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 並んでいる人は手馴れた様子である。ドイツ語のしかないがパンフレット等も貰った。
 並んでいる人に何処の席が良いかと訊いたら「ギャラリエ」。天井の方。3ユーロである。
 幾つかあるカテゴリーのうちのこの日はプライスBなのでちょい下のランクのようだ。

 長くなった列を途中で移動させたので、廊下の窓からクリスマスのウィーンを眺められた。
 また、第二次大戦時に空襲で崩壊した国立オペラ座の写真があり、この状態から再建したのかと、殆ど新築ではないかと思った。

 2時間近く並んで発売。平土間もあったが、やっぱりギャラリエにした。確か平土間は先頭に行ければ良いが、後ろだと観難いというのを思い出したから。

 チケット購入後、それぞれの場所へと分かれるが皆早足である。係りの人に場所を訊いて目指す。ギャラリエ入場列でもまぁまぁ前の方になれた。

 漸く、入場。ギャラリエ立見席の先頭列、翻訳表示器のある場所に陣取れた。周りの人の様子を観て、手すりにタオルを巻き付けて席を確保した。
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 その後、場内見物。あまりにも豪華で再建とは思えない。
 コートを預けて、オペラグラスを借りる。

 開幕。

 舞台上に岩石の転がる荒野。木の桟橋の様なのもあるので海岸かも。或いは、廃工場とも思える様子。もしかしたら、地球ではなくて月かもと。

 女が登場したが、ドレスであった。

 翻訳機で英語の簡訳が出るが殆ど意味が取れない。

 歌は、ほぼ伴奏なしで唄う。
 オーケストラはいわゆる旋律のある曲ではなく、効果音の様な音を鳴らすのみの「現代音楽」

 唖然げっそり「前衛オペラ」であった。戸惑いながら観ていた。

 舞台上には四角い部屋の様な物が浮いていて、家なのか、船なのか、宇宙船なのかとも取れるもうひとつの舞台が設えられていた。その中で、ブラインドが閉められた状態で演技がされていたり、階段が降りて来たりするのだ。

 まるで『モモ』で登場する「灰色の男達」の様なスーツの男達。或いは古代の甲冑に身を包んだ兵士達。白いスーツの男。古代のような装束の白塗りの男。

 観ているうちに、戸惑いは消えなかったが、面白いと思えるようになって来た。
 ストーリーは分らないが、歌声が凄いのは判る。

 幕間の休憩で一息つけるが、トイレのみ。

 更にストーリーは訳の判らないままに演技は凄いと思わせられた。

 終演。

 戸惑いながら席を立つ客もいれば、ブラボーの声も掛かる。ウィーンの客は懐が深い。
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 生まれて初めてのオペラ鑑賞がウィーン国立オペラ座だというのも幸せだ。
 そして、オペラの先入観をぶち壊してくれたのも良かった。これがいわゆる「オペラ」であるならば、「伝統芸能」〜もちろんそれも良いのだが〜を観たようなものだが、これは現代のオペラ、他にはないオペラを観られたのだ。
 また、日本でオペラを観ても、日本のオペラはあるのかも知れないが、海外のオペラでもこういう「前衛オペラ」は上演され難いのではと思われるので、貴重な体験である。

 『MEDEA』の内容については、ウィーン在住の日本人のブログ『たまにはオーストリアちっく パート3』にその日何処かの席で一緒に観ていた感想が詳しく書いてあるのでそちらを参照して下さい。実は凄い演目と歌手だったそうだ。
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