米国男性医師22,071人に隔日50mgを12年間投与し、リスクの低下も上昇も認めなかった研究(New England Journal of Medicine 1996;334:1145-9.)と、皮膚がんの再発予防のため1,805人に一日50mgを5年間投与し、リスクが低下しなかった研究(New England Journal of Medicine 1990;323:789-95.)。著者らは、今回の研究もこのタイプに属するとみなしている。
■2■ 高リスク群を対象とする研究。
フィンランドの男性喫煙者29,133人に一日20mgを5−8年間投与し、肺がん罹患率が18%上昇した研究(New England Journal of Medicine 1994;330:1029-35.)と、米国の喫煙者および職業性アスベスト曝露者18,314人に一日30mgを4年間投与し、肺がん罹患率が28%上昇した研究(New England Journal of Medicine 1996;334:1150-5.)。
■3■ 栄養不良の集団を対象とする研究。
中国の一般住民29,584人にβカロテン(一日15mg)、ビタミンE、セレニウムの組合せを5年投与し、胃がん死亡率が21%減少した研究(Journal of the National Cancer Institute 1993;85:1483-92.)。米国男性医師を対象とする上の研究で、もともとの血清βカロテン濃度が低い集団に限って前立腺がんの発生率が32%低下したという最近の報告(Cancer 1999;86:1783-92. 解説記事あり)も、著者らはこれと一致すると考えている。