何日かかけて、07年3月の旅行記を上げる事にしました。
文章そのものは去年夏には書いてあったんだけどね、写真の選択とか難しくて^_^;;まー、興味のある方だけお付き合い下さい。
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秘境ブータン、その地理を一言で言うならば、
断 崖 絶 壁 し か な い 国。
平地と言えば、山と山の間の谷が「おっ珍しく起伏が少ないなぁ」、その程度。唯一の空の玄関口であるパロ空港、最初に到着した時にはそのあまりの小ささに愕然としたのですが(2kmほどの滑走路の奥に数個の建物があるだけ)、帰る時には、こんなに長くて平らな土地をよく見付けたよ!と感動してしまったくらいです。一番左の写真ね。
とにかく山と谷。延々山と谷。その傾斜っぷりときたら、たまに直角超えて海老反りになってます。ありえねえ。
そして怖ろしいことに、北部に7000m級のヒマラヤ山脈を持っているこの国の人達は、海抜4000m超えの山を平気で「丘」と呼ぶ‥‥
日本もいい加減アップダウンの激しい国だと思っていたのですが、比ではありませんでした。ちょっと広い民家だったら、一階建てでも必ず階段付き。平屋建てにできるだけの平らな土地がないのです。
少し話はズレますが、前回ワールドカップと同時期に、世界最下位決定戦がブータンで行われたのを覚えてらっしゃいますでしょうか?
ブータンはそれに勝って見事ブービー国となった訳ですが、行ってみてそれほど弱い理由がしみじみ分りました。うん、そうだね、サッカーボールが勝手に転がっていかない平らなグラウンドを作る場所が無いんだよね‥‥
そして標高差(気圧差)が激しいので、ボールの堅さが場所によってバラバラ。FIFA公式ボールにきっちり空気入れて輸入したら、運搬途中で破裂するかもしれん。これでナショナルチームを作ろうったって、そりゃ無理だろう!
でもブータン人、サッカー大好きです(笑)皆してケーブルテレビでヨーロッパ大会見てました。そういえば、お寺の小僧さん達がどーにかしてワールドカップ見ようと奮闘するコメディ映画、あったよなぁ。
ヒマラヤ山脈って、元々は独立していたインド亜大陸がユーラシア大陸にぶつかって、その合間が盛り上がって出来た所なんですが(だから山頂から貝の化石とか出てくる)、頭ではそれを知っていても、実物見るとやはりビックリしました。
薄く伸ばした紙粘土を2つ作って、両側からぐいっと押しつけて、間が滅茶苦茶に隆起したのをそのまま乾かして固めた感じ。北側からも南側からもヒマラヤは神格化されてるんですが、本当に神様が戯れで作ったような地形でした。
カルカッタからパロ空港に入る往路ではよく晴れていて、山脈が綺麗に見えました。ずーっと地平線だったインドから、いきなり坂が始まったかと思うと、あれよあれよという間に断崖絶壁。飛行機はほんの5分ほどで山の合間に入ってします。
で、数十分は山の合間を縫って飛ぶ。感覚的には両翼スレスレに山。これは確かに「強風による遅延・欠航がございます」だよ、むしろ風吹いてる時は飛ぶな、マジ怖い。
ビルの隙間を飛んでいた昔の香港空港並のスリルでした;_;
国内の舗装道路は、主な都市‥‥っていうか村落?を繋いでいますが、全国地図が1枚あれば全て記入できちゃうくらいの本数です。三叉路はたま──にありますけど(50kmに一回くらい‥‥)、「交差点」は首都に一ヶ所だけ。そしてそこには交通整理のお巡りさんがいて、つまり国内に信号機は一つもありません。
道は基本的にヘアピンカーブの連続で、全国全身いろは坂。法定速度30km/hと聞いて「ちょっと待てもちっとスピード出るだろー!」と思っていたのですが、すいません30km以上は出さないで下さい。谷底に転落してお陀仏確定です‥‥(どんなカーブだろうとどんな絶壁だろうと、ガードレールはほぼ存在せず)
大体において、国民は舗装道路なんか使わない。移動は山道を歩いてショートカットします。だって直線距離だとすっげ近いのに、目的地はすぐ向かいの谷間の先に見えてるのに、車で行こうとすると標高差が邪魔して30分くらいかかるんだもんT_T
日本人だったら橋を架けてしまうでしょう。でも造らない。川を汚すことになるから。
トンネルを掘れば楽になる場所も無数にあります。でも造らない。山を痛めることになるから。
便利さよりも山川を優先する、優しい優しい人達です。
川の水の美しさ、山の緑の美しさ、奇跡のような国でした。
ただし、車酔いする人は絶対に行くな。薬を飲もうが梅干しを食べようがありゃ無理だ。どうしようもなく無理だ!(笑)
ところで、ブータン最高の格式を誇る寺、タクツァン大寺院(写真3枚目)に行くには、舗装道路→ラフロード→2時間の山登りをしなければならないのですが‥‥
「道が険しいので必要最小限の荷物で!」と言われ、ウエストポーチに財布とメモ帳とカメラを入れ、さてミネラルウォーターと傘と双眼鏡を何に入れて持っていこう?と思った時、荷物を探って出てきた黒いビニール袋が一枚。
──まん●らげの袋があの寺院を訪れたことは、後にも先にも永遠にこれっきりだろう‥‥
仏様も流石にムカッと来たのか、翌日の私は筋肉痛にのたうち回りましたとさ。
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