これは、貧乏大学生による「死神のアルバイト」を描く藤まるによる同題ファンタジー小説を、なにわ男子の西畑大吾と、福本莉子の共演で映画化したもの。
監督は、「ストロベリームーン 余命半年の恋」の酒井麻衣。
父の会社の倒産と、両親の離婚と言う不幸続きの人生に絶望していた大学生の佐倉真司は、時を止める力を持つ謎めいた少女・花森雪希から“死神”のアルバイトに誘われる。
雇用期間は六カ月間、時給は、たったの三〇〇円だが、完遂したら望みをひとつかなえる、と言う……仕事の内容は、この世に未練を残して彷徨う“死者”の願いをかなえ、あの世へ送り出すことだった……
この映画、冒頭の主人公・佐倉の“不幸”の説明でひっかかった……確かに父親の逮捕はショックだったろうが、父の会社の倒産、そして離婚があったにせよ、佐倉は大学生生活を続け、学費も父が出し続けている……これが“どん底”ってどれだけメンタル弱いのよ、と思ってしまった。
(自分語りにはなるが、自分も両親は離婚、家業は廃業して一時、生活保護を受けていたし、学費など望みようもないので、大学進学も断念した)
要は、それまでの社長御令息としての豪邸暮らしから安アパート暮らしになったのに不貞腐れているだけの甘ったれで、そんな男に感情移入は出来なかった。
物語としては、そんな主人公が、ヒロインとなる先輩“死神”とバディを組み、この世に未練を残して亡くなった、彷徨える霊である“死者”を成仏させる、と言うものとなる。
そして、主人公が男女ペア、複数の死者を成仏させるまでのエピソードを連ねる串団子方式で、最後がヒロインのエピソードとなる、と言う構成には既視感がある――要するに「ほどなく、お別れです」、「死神バーバー」と同じであり、偶然とは言え、半年のうちに3本目となれば、さすがに食傷気味にもなろうと言うものだ。
そんな、既視感のある構成に加え、この映画はどうにも話がおかしい……まぁ、死神や幽霊の出て来る話で合理性を求めても仕方ないとは思うが、それでも、この物語の設定である、「“死者”は生者と暮らし続け、成仏した後、その記憶も関連する事象も消える」には無理があるだろう。
また、成仏のさせ方にも疑問がある――母に言いたい事がある、と言うヒロインが、その思いの丈を吐き出すシーン、ここで何と、肝心の母には聴こえないようにし、その内容は、主人公と観客にしか伝わらない、などと言うのは物語として破綻しており、こんなの感動を誘うだけの下手な演出に過ぎない。ここはさすがに呆れるを過ぎて腹が立ちさえした。
また、8歳の少女の“死者”に、嘘と悪意を教え込んだ“死者”に、その報いがない、と言うのも疑問が残る。
確かに、映像は綺麗だし、映画的な印象に残るカットもあって、映画の見た目は悪くない。だが、ここまで物語の出来が悪いと、どうしようもない、と言う印象だ。
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