mixiユーザー(id:124952)

2026年10月05日09:21

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「ディスクロージャー・デイ」感想

 これは、スティーヴン・スピルバーグ監督が「フェイブルマンズ」以来、4年ぶりに手がけた監督最新作。
 出演は「オッペンハイマー」のエミリー・ブラント、「チャレンジャーズ」のジョシュ・オコナー、「英国王のスピーチ」のコリン・ファース。

 政府機関でサイバーセキュリティ担当として働くダニエルは、政府が秘匿する極秘情報を持ち出し、追跡者の妨害に遭いながらも、なんとか情報公開を目論む協力者の下へ運ぼうとしていた。
 一方、気象キャスターのマーガレットは、ある朝、部屋に入って来た赤い鳥と出会ってから、不思議な現象に見舞われる――知らない筈の言葉を話し、見つめるだけで他人の心の内が判ってしまうのだ。
 その日、担当する番組の生放送中に倒れたマーガレットは、搬送された病院で、怪しい男たちに気づいて……

 この映画、どのように受け止めてよいか、迷う部分がある――映画としては、さすがはスピルバーグ監督作品だけによく出来ている。スピルバーグ映画の集大成と言う感じで、過去作品を思わせるようなシーンも散見されるし、何しろ映像のひとつひとつが恰好のだ。それでいて、描写や展開に奇を衒った部分はなく、判り易く、そして、退屈をさせない。アクションは少ないが、サスペンス描写は見事で、手に汗握らされる場面が幾度もある。

 問題は映画の内容で、これは正直「未知との遭遇」ではないか――いや、何故、「未知との遭遇」が実現しないのか、その答えをスピルバーグ自身が解答した、と言う所だろうか?
 この映画を観て思ったのは、スティーヴン・スピルバーグは、宇宙人の存在を信じている、と言う事……少年期から信じ続けて来た、宇宙人――神がこの地上に作られた己が姿に似た存在が人であるならば、天上でもある宇宙において人を超える存在となる宇宙人は、より神に近い存在だろうとする、スピルバーグの宗教観も垣間見える。そして、宇宙人来訪も神の御心であるならば、それを妨げる事が許されぬ行為だろう、と言う怒りにも似たメッセージを受け取った。

 ただ、映画は、そんなスピルバーグの少年のような思いが強く出過ぎているように思う――本作は、ロズウェル事件と、所謂“グレイタイプ”宇宙人を、実在のものとして描く……その描写はいささか古くも感じられるし、あの細い足で地球上で立てるのか、と言う無理目な設定も、リアルに描けば描くほど浮き彫りになってしまう。それだけではなく、ここまで記録の残っているような事が起きているなら、それこそ隠蔽は不可能であろうし、そもそも、人知を超えた存在である宇宙人が、この程度の妨害で、目的である地球文明との“ファーストコンタクト”を実現出来ないでいるのはおかしいだろう……スピルバーグならではのリアルで迫力のある映像、それに見事な演出力があるからこそ、描かれている事の矛盾が露わになってしまう……それが本作の問題ではないか、と思う。
 また、クライマックスの情報開示、今となってはインターネットメディアとすべきで、SNSでの発信の方が拡散力・影響力共大であるのに関わらず、TVでの映像発信、としてしまう辺りの描写、そして、それが地球上の全ての人に伝わってしまう、と言うのもTV世代のスピルバーグのセンスの古さを感じてしまい、ここはさすがに引いてしまった、と言うのが正直な所だ。

 最後、マーマレットが「聞いてください」と言った所で映画は終わる……その先に語られるメッセージは、宇宙人の言葉、つまりスピルバーグにとっては“神”の言葉だから、それは表現する事が出来ないものなのだ、と言うのは判る――そして、そこから先は観客の心に委ねられているのだ、と……
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