『ディスクロージャー・デイ』の賛否両論を見ると、グレイ君が登場する、手垢のつきまくった宇宙人隠蔽説をそのままメインストーリーに使ったことに、乗れるか呆れるかが大きな分水嶺になっているように見える。
私は後者。今どきあれはないだろうと。
そこでちょっと真面目に、宇宙人について考えてみる。なお、ここで言う宇宙人とは、少なくとも地球人程度の知的生命体のことを指す。つまり単細胞生物のような原始的なものは除く。
前提条件として、私は「宇宙人は当然いる」と思っている。宇宙に存在する天体の数を考えれば、「この宇宙に存在する知的生命体は地球人のみ」と考える合理的な理由が見出せないからだ。
ただしそこには時間的(時代的)な問題がある。つまり今この瞬間(そもそも宇宙的に「今この瞬間」という言い方がどういう意味を持つのかも問題だが)に、地球人以外の知的生命体が存在するのかという問題だ。「かつて存在したがもう滅びた」とか「今は存在していないが、宇宙的視野で言えばさして遠くない数億年後に生まれる」といったものもあるはずで、地球人と同時代に存在する宇宙人ということなら、数は絞られるだろう。
何よりもおそろしく距離が離れている。もし宇宙人が地球を訪れるとしたら、その距離を克服できるテクノロジーを、彼らが我々と同時代に持っていなくてはならない(地球人は当分の間無理だろう)。
したがって宇宙人が存在するとしても、彼らが地球人と出会う確率はかなり低いと言わざるをえない。もちろん「かなり低い」ということは「ゼロ」とイコールではない。
それでも宇宙人が地球を訪れたとしよう。そのような宇宙人の操るテクノロジーは、地球人から見れば魔法のようなもので、そもそも空翔ぶ円盤的な分かりやすいもの(地球人の頭脳で思い描けるようなもの)に乗っていること自体が怪しい。
それでも宇宙船的なものに物理的に乗っていたとしよう。いかなるテクノロジーであっても事故はゼロにはならないだろうが、とてつもなく遠い距離を移動できる、魔法のようなテクノロジーが、よりによって地球で事故る確率、そこで少数の宇宙人が生き残り、地球の大気で呼吸ができ、病気にもならず、(多分)地球で生産できる食料で生き延びられる確率…どれくらいある?
また、それだけのテクノロジーを操って遠くまで旅する以上、何かあった時のため、母星に旅行計画くらい出すだろうww それほど高度な文明を持つ宇宙人が、何らの救助も受けられず、地球人に囚われたままになっているというのは、あまりに不自然ではないか? もちろん絶対にありえないとは言えないが、およそ説得力は感じられない。
私は、もし宇宙人が地球に来たことがあるとしたら、それは地球人に認識できない、認識できても自然現象にしか見えないような、まったく次元の違うレベルでの来訪ではないかと思っている(たとえばの話、物質的にはほぼ感知できない精神だけの来訪とか)。
だから少なくとも、ヒューマノイド型の宇宙人が今も地球のどこかに囚われているなんて、実に荒唐無稽なヨタ話だと思っている。そのヨタ話を79歳にもなった巨匠が、これはあくまでもフィクションだよという感じではなく、「私は真実を知っている」と言わんばかりの大真面目な姿勢で描いているのには、さすがに鼻白むものがある。
それと比較すれば、本当に稀な宇宙船の事故で、宇宙人の死体だけが回収された…というのは、ワンチャンありえないとは言い切れない話だろう。
ただそれが仮に事実であることが公表されたとしても、はたしてどこまで地球の歴史に影響を及ぼすかは疑問だ。
何しろ「まだ会ったことがないが、宇宙人は存在する」ということは多くの人が多かれ少なかれ認めていることなので、「確かに存在する」と分かっただけでは、価値観を根本から引っ繰り返すようなものにはならなさそうだ。
もし宇宙人が生きているなら、良い方向であれ悪い方向であれ、地球の文明にとって最大の転機となることだろう。しかし死んでいて、その文明と直接的なコミュニケーションが取れない状態であれば、地球の文明に決定的な影響を与えるかは疑問だ。
宇宙人を神と崇める新興宗教が勃興し、それが大きな力を得るようなことは考えられる。ただし宇宙人を神として崇めること自体は、あくまでも「地球人の勝手な妄想」に過ぎないのである(個人的には宇宙人を御神体とする神社ができたら行って御朱印ももらってしまいそうだが…)。
まとめると
・宇宙に存在する天体の数から見て、宇宙人が存在することはなんら不思議ではない
・ただし地球人と宇宙人の出会いには、時間と空間の巨大すぎる制約がある
・仮にその宇宙人が地球に来たとしても、双方の文明の格差を考えれば、そこで事故って人間に捕らえられて生きているなど荒唐無稽すぎてまったく信じられない
・事故って死体だけが保管されているケースは、比較すれば、まだいくらかありうる
・しかし死体は死体であり、異星の文明と直接的な意思疎通ができない以上、仮にその事実が公表されても、地球の文明を根底から覆すような事態になるかは疑問
…とまあ、そんな風に考える次第。もちろん全ては推論に過ぎないので、これが正解であるという確証などない。ただ「私はそう考える」ので、今さら生きたグレイ君が登場して話をする姿を見せられてもなあ…というね…
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