これは、砂漠の中のダイナーを舞台にしたクライムサスペンス。出演は「サンダーロード」のジム・カミングス、「ハウス・オブ・ザ・デビル」のジョスリン・ドナヒュー。
新鋭フランシス・ガルッピの監督デビュー作であり、本作をサム・ライミ監督が絶賛。自身のライフワーク「死霊のはらわた」シリーズの新作監督にフランシス・ガルッピを抜擢する、と言う事でも話題となった1本。
1970年代、メキシコ国境に近いアリゾナ州ユマ郡の砂漠地帯。国境までの最後の給油所にセールスマンがやってくるが、給油車がまだ来ておらず、ガソリンがない、と言う。セールスマンは併設されたダイナーで、ウェイトレスと話しながら時間を潰していた。
そこにメキシコ目指して逃走中の銀行強盗が現れ、セールスマンとウェイトレスは人質となってしまう。だが、ガソリンがないので銀行強盗もダイナーから出られない。
ダイナーには更に、老夫婦に新人保安官、犯罪者を目指すカップルに、地元のネイティブアメリカンと、次々にやって来るが……
この映画だが、まるで、タランティーノが撮ったアメリカン・ニューシネマのようだ――唐突に現場で始まる物語、背景も動機もなく、善悪すら混沌とするアメリカン・ニューシネマ的展開に加え、何かが起きる気配を漂わせ、徐々に緊張を高めながら、延々と会話シーンを続け、そこから、一発の銃声をきっかけに怒涛の展開になだれ込む辺りは、正に初期のタランティーノ映画の趣。
回想シーンを挟まず、登場人物の余計なドラマを語らない一方で、必要な情報はきちんと描く辺りは、判りやすい上に映画のテンポを削がずに好印象だし、修羅場での容赦のなさも、この乾いた、ハードボイルド映画に相応しい。
そして、最初の銃声まで何事もないように進んでいた事態が、銃撃戦からは悪い方向へと転がって行く展開はスリリングで、最後はちゃんと物語の起点に戻り、アクション映画らしい大爆発で締めくくる。
新人監督らしく、やりたい事をあれこれ突っ込んでいながらも、それでも破綻なく90分にまとめた辺りも見事なもので、これはサム・ライミ監督が絶賛した、と言うのも納得だ。
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