〜元半グレで元受刑者という過去を持つ西健吾は、海の見える地方都市で全寮制更生施設「みらいの里」を運営している。自身の体験を糧に、道を踏み外しかけた子どもたちに体当たりで向き合う西だったが、体罰も辞さない更生方針は教育関係者から批判されていた。ある日、彼は中学校教師の冬子から、手に負えない生徒・海斗と鑑別所帰りの悠について相談される。2人に会った西は、一瞬にして海斗の狂気を見抜く。海斗の激しい家庭内暴力に疲れ果てた母親も、息子を「みらいの里」に託すことを決める。しかし海斗は施設でも寮生とトラブルを起こして脱走し、さらに傷害事件で逮捕されてしまう〜<映画.comさんより>
そこそこ内容に触れていますので、未見の方はご注意下さい
あの〜「半グレ」って、普通に使われている言葉なんでしょうか?
私、意味がわからなくて、調べてしまいました。
「半分、グレてるってこと?」でも、それ、どういうこと?
𠮷田恵輔監督作は『ヒメアノ〜ル』は未見なれど『愛しのアイリーン』『空白』『ミッシング』は観ていて、とりあえず押さえておきたいと観賞。
𠮷田恵輔監督作品の特徴って、もしかして、徹底的に追い込む&容赦なし?
今作もそのあたり、凄かった。
内容はポスターのまんまです。
まさに今、殴られようとしている主人公と、殴りかかろうとしている青年。
冒頭から凄かった。怖いやら、面白いやら。いきなり首根っこをつかまれます(笑)
主人公の西は、少年少女の更生施設「みらいの里」を運営。
西自身、かつて刑務所に入っていた過去がある。
中学校教師の草野は、暴力行為が止まらない海斗の対応に頭を痛めていました。
西の更生セミナーに参加した草野は、西に直接相談。
その後、海斗の母親の了解を得て、海斗は「みらいの里」へ強制連行。
草野がストレスで、自分の髪を引きちぎるシーンが3回ほどあって・・・。
あまりにもダイレクトな描写で痛々しい...。でも、これこそが吉田監督なのよね。
草野も海斗の母親ももう限界でした。
「あの子は普通じゃない」
ちょっとビックリしたのが、母親が寝ている海斗の髪を触るシーンがあるんです。
あれだけ暴力を受けていても、髪を触れる?私なら無理だと思う。
草野の髪の毛シーンと対比になっていたのかしら?
物語の核は、やはりと言いますか、海斗が「みらいの里」で変わっていけるかどうかというところ。
これが想像どおり、簡単にはいきません。
常にやる気なし、常に反抗的態度。
ある時、入所者の女の子を堤防から蹴り落して大怪我をさせてしまいます。
また、西と一緒に頑張って作っていた鶏小屋も燃やしてしまうという。
その後、傷害事件も起こし、海斗は少年鑑別所へ。
西と草野は鑑別所の海斗に面会に行きます。この

会話にメンタルがやられました。
草野「自分がやられて嫌なことをなんでするの?」「人の痛みがわからないの?」
海斗「人が痛くても、俺はちっとも痛くないんだけど。嫌なら反撃に来ればいいじゃん」
もう、もう、口があんぐり。
こういう感情(人の気持ちがわかる)って、自然に育まれていくものだとばかり。
いや、でも、育まれない人がいるゆえに、犯行が起こるのか。
ちょっと、順序が怪しいんですが、覚えていることを書いていきます。
「みらいの里」は注目されるようになり、テレビで取り上げられ、取材も舞い込み、セミナーも盛況に。
でも、ある時、週刊誌に西の過去が暴かれ、施設は一時閉鎖することに。
どういう過去かと言いますと、西がかつて刑務所に入っている時、当時つきあっていた女性との間に子供が生まれてめちゃ嬉しかったんだけど、でも、その女性と子どもは交通事故で亡くなってしまったという。
その一連の出来事で西は更生できたようなんですが〜。
ただ、別の週刊誌が取材したところによると、そんな女性は存在しないと。はあ?
ところが、更にまた、別の雑誌の記者が西の知り合いという人物に取材したところ、名前の勘違いで誤解されたみたいだけど、実話だと。
このあたり、結構、大事だと思うんだけど、ずっと台詞だけで説明され、あっさり通過。
それが、なんとも、私には、モヤモヤしました。
海斗の父親と、海斗が起こした傷害事件の被害者男性が向き合うシーンが、なんともいえない空気感で凄かった。
2人とも、杖をついているんです。このビジュアルがまず凄かった。2人とも被害者。
実は、海斗の父親をその状態にしたのは、西。えっ?されど、西は覚えていないという。
海斗の父親はその男性に謝ると同時にこんなことを話します。記憶があやふやですが。
「事件を起こしても何も変わらない人間がいる。そんな奴にずっと憎しみを抱いていても自分をダメにするだけだ。前に進まなきゃいけない」
父親はおそらくこれ、自分自身にも言ってたんだと。
※予告編
https://youtu.be/g71rjyZxB4w?si=N3qupfHaj9miT8Ln
その後、海斗は出所するものの、行き場がなくなり、不良たちの世界へ。
彼らはなんと、西への襲撃を企んでいました・・・。海斗よ、お前はそれでいいのか!
ちなみに「みらいの里」で更生できた子もいるんですが、退所後、また薬を始めてしまった者も。
終盤、西は、海斗へ誕生日プレゼントを持って行きます。
西がどうして’それ’を海斗に選んだのかを自分なりに考えていたら、泣けてきました。
海斗は西を追いかけますが、西の姿はありません。
代わりに、コンクリートの割れ目から、小さな緑の芽が見えています。
個人的には、それが素直に受け入れられませんでした。
もちろん、それは「希望」です。でもちょっと「これ見よがし」に感じてしまいました。
そして、ここで終わると思いきや、とんでもないラストシーンが待っていました。
呆気にとられてしまうエンディングで、観客は西と一緒に吹き出す始末(笑)
キャストは、知らない方ばかりだったですが、どの方もハマっていて、リアルで素晴らしかった。
母親役の占部房子さんは知ってましたが、ますます演技に凄みが出てきて上手かった。
総評:相変わらず「追い込むなあ」というのが正直な感想。
観客が観ていてしんどくなるのはわかっているけど、やめられないんでしょうね。
観れてよかったです。思いがけないエンディングに、帰りの道のり、足取り、重くならなくてすみました。
ただ、西の過去のところがやっぱり気になりました。
それでも、脚本は練られているし、緊迫感がずっと漂っているのは、さすが。
タイトルの意味も含めて、観賞しながらあれこれ考えさせられる作品でした。3.8☆
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