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2026年08月28日00:22

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「オブセッション 災愛」感想

 これは製作費100万ドル未満の低予算映画ながら、全米初登場第3位、2週目に第2位を記録したホラー映画。
 YouTubeのスケッチ・コメディ動画で注目を集めた、カリー・バーカー監督の長編映画デビュー作でもある。

 楽器店に勤める口下手で内向的な青年ベアは、想いを寄せる同僚のニッキーに告白しようとするも、いざとなると何も言えず、怪しげな雑貨屋にあった、願いを叶えると言うまじないのアイテム「願いの柳」に「ニッキーが自分を誰よりも好きになる」と願ってしまう。
 その直後から、ニッキーはベアに急接近――そんなニッキーにベアは喜ぶ処か戸惑いを隠せずにいたが……

 自分はホラー映画が苦手で敬遠しているのだが、本作についてはやたらと評価が高く、思い切って鑑賞するに至った次第――なるほど、評価の高さに違わず、誰しもが抱く普遍的な思いと感情を、あるアイテムによって“ずらす”事で生じる壊滅的事態を描く、秀逸な物語だった。
 そのアイテム、と言うのが「願いの柳」……どんな願望をも叶える、このアイテムを「叶わぬ恋」に使ってしまった事が、悲劇の始まり……まず、主人公のベアは典型的なオタク青年で、内向的なだけでなく、関心のある物事は徹底的に調べ、掘り下げている。つまり、誰よりも気になるニッキーの事は非常によく判っていて、だから、自分に関心を持つ筈がない、とも理解している。だから、ベアは、自分に好意を寄せるニッキーに最初っから懐疑的なのだ。
 そんな、「叶わぬ恋」と知っているから告白出来ず、それが叶っても懐疑的なベアに、苛々しながらも感情移入して観客も、やがて、性欲に負けて、なし崩し的に状況を受け入れて行くベアには疑問を生じるだろうし、その後の展開における、ベアの度を越した優柔不断、と言うか徹底した無責任体質を見せ付けられると、彼が引き寄せた“災厄”をも「自業自得だろ」としか思えなくなってしまう。

 そんな物語が描き出すのは、「恋愛」と言う感情の暴力性……恋愛は強い感情である上に、対象となる相手が必要で、それ故に、そこに相互理解がないと大変な事になる――ストーカー犯罪は勿論、デートDVなど、その例は数多あるだろうし、誰もが思い当たる記憶があるのではないだろうか?
 ここに至って、物語は、“大人しく”見えたベアの無自覚な暴力性、その結果からの逃避と言う無責任、自己中心的であり続けるが故の解決能力のなさ、と言うのを見せつける……そして、それは同時に多くの人に、ベアと同じ部分がある、と言う事をつきつけて抉り出す、容赦のないものとなっており、そこに本作のインパクトがあるように思う。

 物語は、ホラー映画らしくカタストロフを引き起こし、血まみれで終わる……その終盤を、綺麗に決着させず、ひっかかりを残す嫌らしさもまたカリー・バーカー監督の持ち味だろうか?

 低予算で人気の俳優も出ていない本作だが、エグい物語と、俳優の迫真の演技を引き出した演出力……編集の雑さ、ジェンプ・スケアに頼るホラー演出など、拙い部分も目立つ演出だが、これは、間違いなくカリー・バーカー監督の出世作となるものと思う。
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