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2026年07月24日05:30

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エリカ・クラウス『だれか、わたしを助けて』

久しぶりに Amazon にレビューを書いて、それについて、note にも記事を。
note の全文を mixiにも、写しておきます。


エリカ・クラウス『だれか、わたしを助けて』を読んで

キョンキョン(小泉今日子)の『優しい雨』の中に、「こんなに普通の毎日の中で 出会ってしまった二人」というフレーズがあるのだけれど、いま、そんな感じ . . .
エリカ・クラウスの短編集『だれか、わたしを助けて』と出会って、すっかり心を奪われてしまった。本に恋をしてしまった。

Amazonはじつはあまり応援したくないの。でも、大好きな本に星が並んでいないと淋しいから、以下のレビューを書きました。
タイトルの「女性に読んでほしい」の「女性」は、「本好き」「小説好き」、と迷って、やはり女性にしました。

☆☆☆☆☆ すべての女性に読んでほしい、珠玉の短編集

すごい . . . 12編すべてがあまりに巧みで美しく、言葉を失う。
エリカ・クラウスがすばらしい書き手だということは、『いつかわたしに会いにきて』でわかっていた。けれど今度の『だれか、わたしを助けて』は、期待以上、想定外のすばらしさだった。

わたしは、作中の誰にも会ったことがないし、どの光景も目にしたことはない。それなのに誰のことも、どの部屋も、どの路地も知っている気がする。さらにいえば、この匂いも、この音も、この人のぬくもりすら知っているような感覚。―― それほどの強い共感と、デジャブ(既視感)。

どれだけ取材をしたら、こんな物語が書けるのだろう。荒唐無稽なのに、このリアリティはなんなのだろう。
このピアノは実際にあるの? 地名はほんとう? どこまでが現実なのだろう?
疑問が次々に浮かぶけれど、そんなことはどうでもよくなっていく。
12の物語を五感で追体験し、目に涙をためながら、せつなくも心地よい混乱を味わった。

読後、一週間たってもまだ余韻の中にいる。最高の読書体験。やさしい気持ちにしてくれる、珠玉の短編集。すべての女性に読んでほしい。

◆ 追記:waca / 輪佳さんの装画がきれいで、帯に書かれた書店員さんたちの言葉も、まったくその通りで、うれしかった。

  とにかく「極寒の町」を読んでほしい!
  ラストに押し寄せる胸の痛みは……

  それでもわたしは思っていた。
  あなたの気持ちがわかる、あなたのことを知っている、と。

  この途方もない余韻は、圧倒的に詩である。

以上、Amazon

◆ note版 追伸:古屋美登里さんの日本語が心にジンジン響いたせいで、このオシャレな言い方、英語では、なんて言ってるんだろう? この罵り言葉は、原語ではなに? と何度も思った。いつか原書も読んでみたい。
その日のために、短編の日英タイトルを並べておきます。
 
『だれか、わたしを助けて』Save Me, Stranger 収録作・原題対照表

  邦題  Original Title
1 極寒の町 The Pole of Cold  注*1
2 ピアノ The Piano
3 ダッジ通りの北側 North of Dodge
4 ヘラジカを食べてくれ Eat My Moose
5 だれか、わたしを助けて Save Me, Stranger
6 バンコクにいると When in Bangkok
7 立っている男 The Standing Man
8 ユダヤ人 Jude
9 神を畏れるごとく我を畏れよ Fear Me as You Fear God
10 あなたとなら一晩中こうしていられるけど、それって人生で最悪の夜になりそう I Feel Like I Could Stand Here with You All Night and It Would Be the Worst Night of My Life
11 ブルー・ホール The Blue Hole
12 心臓と大血管損傷 Wounds of the Heart and Great Vessels

注*1 短編集一つめの『極寒の町』は、目次では「町」、本文の小タイトルは「街」となっています。ヴェラの住むシベリアの風景には「町」の漢字がぴったりなので、小タイトルの「街」は誤植の名残なのかな . . .  それにしても、ほんとうに美しくて、愛おしい余韻ののこる物語です。

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