これは、「皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ」のガブリエル・マリネッティ監督によるイタリア・カンフーアクション。
中国・福建省で、武術家の家に生まれた姉妹がいた。跡取を望む両親は男児を望み、一人っ子政策時代にも関わらず秘密裏に第二子を出産したが、その子も女児だったのだ。妹のシャオ・メイは、人前に出られないまま育てられ成人――だが、イタリアに出稼ぎに行った姉が行方不明となってしまう。
シャオ・メイは、イタリア・ローマへ密航、姉の足取りを追う。だが、姉の勤め先であった高級中華料理店「紫禁城」は、裏では売春や人身売買を行う犯罪組織だった。
イタリア語を全く話せないシャオ・メイは、食堂を営むマルチェッロと共に、姉の行方を追うのだが……
イタリア・ローマにやって来たカンフー使いが……と言う、まるでブルース・リーの「ドラゴンへの道」のような設定の本作だが、ガブリエル・マリネッティ監督のカンフー愛は本物で、これが、ちゃんとカンフー映画として出来上がってるのだ――銃はアクションには使わず、アクションは建物内が基本で、家具など、その場のものを活かしながら戦うスタイルは、今やあまり見かけなくなった、香港映画のカンフーアクションそのまま、と言っていい。
スタッフやスタントに中国人が多数入っている、とは言え、共同制作でもない本作で、ここまでやるのだから、大したものだ。
主演のリウ・ヤーシーは、のんにも似た感じ。実写版「ムーラン」ではスタント・ダブルを務めた、との事で、自ら演じるアクションも決まっている。
物語は、ガブリエル・マリネッティ監督らしく下町を舞台とした等身大の物語で、2つの家族とひとりの男に絞ったミニマムな設定は、物語を余り複雑にせず、アクション映画である本作にとっては好印象――ただ、家族を失い悲嘆に暮れた後に、ローマ市内の名所をスクーターで巡る「ローマの休日」のようなロマンティックなシーンを入れて来る辺りには、情熱的で楽天的なイタリア人と大らかな中国人が組むと、こうした能天気な展開になるのか、と、日本人である自分にはついていけないものを感じたりもしてしまった。
あと、細かな事だけど、イタリアでのエピソードが字幕では「現代」となっていたけど、これは登場人物の年齢的にも2015年前後で、エピローグが「現在」ではないか、と思ったり……
続編を意識せず、「一人っ子政策」にも決着をつけて、綺麗にまとめたラストもよく、これはよく出来たアクション・エンターテイメントだと思う。
ログインしてコメントを確認・投稿する