これは、直木賞作家・小川哲による同題ミステリー小説を映画化したもの。
出演は、中村倫也、神木隆之介、そして、ムロツヨシ。監督は、「ハケンアニメ!」の吉野耕平。
賞金1000万円を懸けた生放送クイズ番組「Q−1グランプリ」決勝戦。“クイズ界の絶対王者”と称される三島玲央は、“世界を頭の中に保存した男”として頭角を現して来た本庄絆と王座をかけて争う事になる。
共に優勝まであと一問に迫り、勝者が決する最終問題で、本庄は問題が1文字も読まれないうちにボタンを押し、そして正解してしまう――これに世間は騒然とする、やらせか、不正か、それとも魔法なのか?
そんな中で、TV局では、その「0文字解答」に迫る検証番組が放送される事となり、三島は番組の中で、その謎を解き明かして行く……
この物語だが、原作小説の時点で話題となり、TBSラジオの「アフター6ジャンクション」では本作にインスピレーションを受けた「1週間ウルトラクイズ」を企画し、本作で紹介された早押しクイズの構造を解き、聴取者が体験出来るようにしていた――このラジオクイズ企画では現実に「0文字解答」が出てしまった、と言うオチもついた。
このように、この物語は、「早押しクイズ」の構造を理詰めで解きほぐし、更に、まるでスポーツ競技のように、決して知識だけではない、勝負の駆け引きや深読みによる先手取りなどのクイズのテクニックも紹介しつつ、「0文字解答」の謎を、無理筋の理屈も、魔法も使わずに説明する――これを、理屈っぽく台詞で語るのではなく、解答者の脳内にある正解へのプロセスを図式化して見せ、テンポを落とさずに説明してしまう描写には、吉野耕平のセンスも見える。
更に、物語は、クイズの「問題」に留まらず、「クイズ番組」、そしてそれを生み出した人の思考にまで広げて行き、更に、解答者が、今ここの現時点で問題を解く、そこに連なる人生のドラマをも見せて行く……これは見応えのあるものであり、それを検証番組と言う限られた時間と、コンパクトなスケールに押し込んでいるのも素晴らしい。そして、そんな濃厚なドラマを理屈っぽくもならず、センスよく、映像化した映画は、よく出来ていると思う。
事実上のW主演、中村倫也、神木隆之介は他に適役も思いつかないくらいのハマリっぷりだし、食えない敏腕プロデューサーを演じたムロツヨシの好演も見逃せない。
これは面白い映画だった。
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