これは、「007/カジノ・ロワイヤル」のマーティン・キャンベル監督が、主演、エヴァ・グリーンで挑むバトル・アクション。
パキスタンで、ISIS武装勢力が女学校を襲撃し、女子学生を拉致する事件が発生。生徒らの中には、元アフガン政府関係者や米国外交官の子女が含まれていた。
CIAによる人質奪還作戦は失敗、プランBとして陸軍特殊部隊による作戦が立案され、アフガンでの任務で壊滅した特殊部隊の生き残りの女性兵士、ジェイクが選出される。虜囚体験がトラウマとなっていたジェイクだが、誘拐事件の首謀者が、ジェイクの戦友を虐殺したISIS指揮官アミールだと知って、救出作戦への参加を決意する。
そして、国際医療支援団体を偽装してアフガニスタンへ潜入する為、女性傭兵をかき集めて編成されたチームで、ジェイクは決死の救助作戦に赴くのだが……
この映画、数多くのアクション映画を手掛けたマーティン・キャンベル監督が、なぜ?と思う程に出来がよくない――プロローグのジェイクの救出作戦の描写だけでも、展開が非現実的だわ、シーンの繋がりもあり得ないわで、「こりゃダメだな」と思わせる出来なのだ。
確かに、米軍撤退後のタリバン支配下にあるアフガニスタンが混乱し、ISISの残党との内戦状態にあったのは事実だし、ISIS(正確にはISISのアフガン支部であるISKPと言うべきだろう)のパキスタンへの越境テロと言うのもなかった事ではなく、舞台背景としては納得は出来るものはある。然しながら、ボコ・ハラムによるナイジェリアの女生徒拉致事件をベースにしたような大規模拉致を描きながら、救出対象は、元アフガン政府関係者や米国外交官の子女のみで、その他のパキスタン人女子生徒は性奴隷として売却されるのを見殺しにしているのは、さすがに後味が悪い。
主人公を女性部隊とした設定にも必然性を感じないし、現実味もない……実際、ISIS戦では女性兵士が戦っており、そこに着目した「バハールの涙」と言う映画も作られているのだが、比べ物にならない出来に留まっているのは残念に思う。
戦場アクションとしては、登場人物が必要以上に多く、そして死に過ぎるのも気になった所だ。人数が多過ぎるので、各自の特技の見せ場を作り切れず、結果として、見分けがつかない、と言う残念な結果になってしまったように思う。
また、ジェイクのトラウマとなったシーンを描かず、語りだけで済ませているのも中途半端だし、これを物語のフックとするならば、クライマックスの戦闘で、ギークを置き去りにしてしまってはダメだろう、と思う。
エヴァ・グリーンはアクションも出来る女優だが、今回は肉弾戦を含むハードな内容に取り組んでいるのは見物だし、確かによくやっている――だが、映画の出来がこれではいささか気の毒、と思ってしまった。
ログインしてコメントを確認・投稿する