これは、アメリカのクライム・ノベルの巨匠、ドン・ウィンズロウ「犯罪心得一の一(クライム101)」を、クリス・ヘムズワース主演で映画化したアクションサスペンス。
共演は「哀れなるものたち」のマーク・ラファロ、「アメリカン・アニマルズ」のバリー・コーガン、「名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN」のモニカ・バルバロ、「チョコレート」のハル・ベリー。監督・脚本は、「アメリカン・アニマルズ」のバート・レイトン。
ロサンゼルス市で、輸送中の数百万ドルのダイヤが奪われた。強盗犯は現場に証拠を残さない犯行で知られるデーヴィス。彼は過去4年、完璧に仕事をこなして来た。しかし、今回の仕事で、元締めの故買屋に不信感を抱いたデーヴィスは次の仕事を断り、その仕事は若くて乱暴なオーモンに委ねられる事になる。
一方、強盗事件の捜査にあたるルー刑事は、事件が101号線沿いに集中している事と、証拠を残さない鮮やかな手腕から、同一犯による連続強盗事件と見て、独自の捜査を始めていた。そんなルーを、強盗被害による保険金支払いの調査の為、富裕層向けの保険外交員のシャロンが訪ねて来た。
そして、デーヴィスが強盗稼業から足を洗うべく動き出した大仕事に、ルーとシャロン、そして、計画を嗅ぎつけたオーモンもが絡んで来て……
これは、久々に観る本格アクション・サスペンスで、宝石強奪、と言うクライム・サスペンスを中軸に、頭脳戦あり、カーチェイスあり、睨み合いのサスペンスあり、と言う最近なかなかないタイプの映画となっている。さすがにドローンは使うけど、CGの使用は極力抑え、クルマやバイクの使用も最小限に絞った現実味のあるアクションを見せる――余談だが、オーモンを演じたバリー・コーガンはバイクアクションの多くの自らこなした、と言う。
派手さよりも現実味、アクションよりもドラマに重きを置いた映画は、これは映画マニアを唸らさせる通好み、そして味わいとしては正に大人向けの映画と思う……それは同時に、いささか古臭い、と言う印象を与えるものでもあるのだが、自分的には、これは思わず引き込まれる面白さ、であった。
ドラマの方もなかなかいい。
デーヴィス、ルー、シャロン、3人それぞれに先行きの不安や、鬱屈を抱え、そんな現状を変えるべく、綿密な計画の上で大勝負に打って出る……そんな巧妙な仕掛けの中、我関せずのオーモンが勝手に動き回るのが、先行きを危うくするサスペンスを生む、と言うのも上手く、クライマックスまでを先の読めない感じを生み出しているのもいい。
あと、かつてなら。大泥棒と偏屈刑事と言う対立軸を作ればよかった所に、女性が割って入って来る辺りが現代的で、女性社員に“若さと色気”を求める古い男社会に蹴りを入れる辺りは痛快でもある。
ただ、デ−ヴィスがマヤと恋に落ちるエピソードは、賛否の分かれる所だろう。と思った。
名優揃いのキャストも魅力的だが、デーヴィス役のクリス・ヘムズワースはちょっと若くてイケメン過ぎるか……ジェイソン・ステイサムとか、マイケル・ファスベンダーならどうだろう、と思ってしまった。
あと、シャロン役のハル・ベリーは、役年齢の53歳にも見えないが、現在60歳なのだから、あの美貌とスタイルは反則的だろう。
ラストは、3人それぞれに人生を変える“兆し”を描いて幕切れとなる――自分的には、デーヴィスにもう少し“分け前”があったもいいように思ったが――描き過ぎない辺りもまた“大人向け”と言う事だろうか。
ログインしてコメントを確認・投稿する