以前、録画したが冒頭部分で見るのをやめてそのままもう見返すことがなかった。
それが先日、たまたまネットに時代劇の動画があらわれ、寺尾聰が鮮やかと言っていい殺陣を見せている。
寺尾聰はこんな立ち回りができたのかと驚き、どの映画だろうと思ったら、それが「雨あがる」だった。
映画が始まり、音楽が流れると、これがいい。
本家の後期の黒澤作品よりいいなと思い、黒澤もこの音楽家と組めばよかったのにと思う。
そして多くのシーンに黒澤へのオマージュがあらわれる。
いま思いつくのは、「どん底」を彷彿とさせる主人公らが泊まる猥雑な活気ある木賃宿、やむなく徒党と斬り合いになり徒党の相打ちで切られた一人の首から血が吹き出る「椿三十郎」、「乱」などの馬の隊列が川を進むなどのシーンがあり、何より出演者がいわゆる後期の黒澤組ばかりで、仲代達矢、井川比佐志、寺尾聰、宮崎美子、松村達雄、原田美枝子、吉岡秀隆らが顔を揃える。
それに三船敏郎の子息、三船史郎を殿様役に抜擢しているのもねえ。これは三船敏郎への黒澤組における存在の大きさへのオマージュでもあるねえ。
そしてラストに流れる音楽を聴き、やはりすごくいいなあ、んっ、はて、と思い、この叙情的な素晴らしいオーケストレーションは彼に違いなかろうとエンディングロールを見守っていると、たしかに「赤ひげ」までの多くの黒澤作品に闊達さを与えていた留萌の英雄、日本映画の大物音楽家、黒澤作品常連の佐藤勝だった。
思えば黒澤作品は「赤ひげ」を頂点に、その後、凋落の一途、というと言い過ぎかなあ、でも低迷していった。
「赤ひげ」以降は三船敏郎を使わなくなったことは大きかったけれど、もうひとつ、それも大きな原因のひとつが佐藤勝を使わなくなったことにあると確信してしまった「雨あがる」の鑑賞だったんだねえ。
https://www.youtube.com/watch?v=y5MxP819Vbg
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