これは、東野圭吾の同題小説を「ソードアート・オンライン」シリーズの伊藤智彦監督が長編アニメ映画化。ちなみに東野圭吾の小説がアニメとなるのは本作が初めてなのだと言う。
声の出演は、主演に「少年と犬」の高橋文哉、共演は、天海祐希、齋藤飛鳥、大沢たかおと実写俳優中心の豪華、と言うかそのまま実写映画に出来るんじゃないか、と思わせるものとなっている。
21歳の青年・直井玲斗は、理不尽な理由で解雇された元の勤め先に、悪友にそそのかされて忍び込んで逮捕される。そんな彼に救いの手を差し伸べたのは、大企業の重鎮でもある叔母の柳澤千舟だった。
千舟は玲斗に、月郷神社のご神木のクスノキの番人になることを命じた。選択の余地なく番人となった玲斗は、番人をするうちに”願いがかなう”と言う不思議なクスノキの下に通う様々な人々と出会って……
この映画だが、さすがは東野圭吾、と言うべき所なのだけど、物語はいい――不思議なクスノキを軸に、人の”願い”と“想い”を紡ぐ群像劇であると共に、根無し草のような青年・玲斗が、己を知り、己にかけられた想いを知って、一本立ちすると言う青春映画にもなっているのだ。
物語には勢いがあって、面白くもあり感動的でもある、これは見事、と言う他にない。
声の出演としては、玲斗役の高橋文哉も悪くはなかったが、さすがだったのは天海祐希で、迫力と貫録は期待以上。あと、優美役の齋藤飛鳥は上手く、これは本職の声優か、と思った程だった。
惜しいのは、時折、「あれ?」と思わせる展開が出て来る事……話としてよく出来ているだけに、「何で?」と思ってしまう所があった。
それに類するかもしれないが優美が父親の祈念を、母の死を願う「呪い」と決めつける理由も弱い――ここま冒頭部分だけに、納得させてくれる説明が欲しかった所だ。
また、伊藤智彦監督だが、カメラアングルやカットそのものに、時折、過剰な演出をするのも引っかかった……こうした作品は、奇をてらわずに真っ当に見せるだけでよいと思うのだが……まぁ、こうして引っかかった所を挙げて行くと結構あったりもするのだが、それでも物語の力強さもあって、面白く観られる映画ではある、と思う……ただ、こうした単発の劇場アニメはなかなか当たらない、と言うのが日本の現実ではあるのだが……
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